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元銀行員。子育てられ中。

住宅ローンを借りる前に知っておきたい準備物・審査・金利・返済など。これだけは頭にいれておくべき。

 

住宅ローンを初めて利用する人や借り換えをしようと考えている人のために、住宅ローンについて必要な情報をまとめておきます! このページだけ読めば、住宅ローンについてはバッチリわかります!

 

 

1・住宅ローンとは何か。
2・どうやったら利用できるか。
3・抵当権ってなに?
4・利用の全体的な流れ。
5・金利って?
6・金利以外にかかる費用。
7・審査って?
8・用意するものは?
9・いくら借りられる?返済負担比率ってなに?
10・親から資金援助は受けられる?贈与について考えてみる。
11・住宅ローン商品の種類
12・住宅ローン利用で使える政府の優遇策
13・住宅購入と消費増税
14・固定金利と変動金利の違い。どっちがいいか。
15・商品を選ぶコツ。
16・ネット専業銀行とその他銀行の違いとは?
17・住宅ローンと保険。
18・借りたあとのこと。
19・繰上返済。
20・住宅ローンと教育資金。
21・住宅ローンと老後資金。
22・いざとなれば借り換え(乗り換え)すればいい?

 

 

1・住宅ローンとはなにか?


住宅ローンとは、家を買う時に利用するローンのことです。銀行や住宅ローン専門の会社からお金を借りることを指します。購入の際には、住宅を担保にいれる必要があります(抵当権設定)。

 

リバースモーゲージやリフォームローンも広義の住宅ローンに入ります。
リバースモーゲージは住宅を担保に生活資金を借り入れるローン。リフォームローンは住宅の修繕などに利用できるローンです。リフォームローンに関して言えば、住宅を担保にすることができるところとできないところがあります。住宅を担保にする場合としない場合では、金利に違いが出てきます。

 

2・どうやったら利用できるか。


利用方法は簡単。銀行に行って「住宅ローンを組みたいんですが」といえば、大丈夫。
ネットだと、仮審査申込みボタンをポチッと押す。そうすれば、仮審査から手続きがスタートします。

 

3・抵当権ってなに?


抵当権とは、簡単にいうと「万一返済ができなかった場合にそのモノを取り上げてそこから返済しますよ」ということ。家に抵当権を設定すれば、返済ができなかったときには家を取り上げて売却することで銀行は融資資金を回収します。競売ですね。実務では、任意売却のことの方が多いかな。取り上げるんじゃなくて、お客さんの意志を確認して家を売ることを任意売却といいます。

 

4・利用の全体的な流れ。


流れは以下のようになっています。

・買う家を決める。
・銀行に相談。仮審査。
・書類提出and本審査
・融資実行and登記設定
・返済

 

5・金利って?


お金はただでは借りられません。借りた以上は利用料を支払う必要があります。それが金利。借りた額に一定の率を掛け合わせることで算出されます。
金利には、銀行の①運営コスト ②インフレへの備え ③貸し倒れへの備え が含まれています。金利は固定金利と変動金利から選ぶことができます。

 

6・金利以外にかかる費用。


金利以外にも、住宅ローンを借りるときには①事務手数料 ②登記費用 などがかかってきます。
あとは、引っ越し費用なんかも準備する必要があるので、手持ちのお金を全部頭金に突っ込みたい気持ちは分かりますが、多少は残しておく必要があるでしょう。

 

7・審査って?


年収や今までの返済履歴、年齢などから銀行は「この人に貸しても大丈夫かな」を判断します。それが審査。年収に対して年間の返済金額がどの程度になるか(返済負担比率)などをチェック。キチンと返済できる借入かどうかを確認します。

 

・審査に落ちる理由
審査に落ちる理由は様々ですが、銀行は教えてくれません。考えられる理由は以下のとおり。

1・年収に対して借入額が大きすぎる。
2・他の会社からの借入がある。
3・過去に延滞を起こしている。

 

1に関して言えば、親の援助などで借入額を圧縮すれば道が開けるかもしれません。2に関しては、他の会社からの借入(カーローンや消費者金融など)を返済すればいいでしょう。3に関して言えば、信用情報からその情報が抹消されるまで待つ必要があります。延滞などが不安視される場合には、信用情報の会社から自分の信用情報について開示請求してみましょう。
信用情報を扱う会社は以下の通りです。

www.jicc.co.jp

www.cic.co.jp

 

www.zenginkyo.or.jp


面倒ですが、金融機関からは教えることができない以上、自分で開示請求を行う必要があります。開示請求の結果、身に覚えのない情報が登録されているような場合は訂正の請求もできます。
審査に落ちた場合は一度信用情報を確認してみることをお薦めします。落ちる前でも不安であれば、開示しておきましょう。

 

8・用意するものは?


本人確認書類
所得証明関係書類
物件関係書類

 

9・いくら借りられる?返済負担比率ってなに?


銀行は、年収に対して年間の返済率をみることでその人の借入能力を測定します。それが返済負担比率。
大体30%と言われていますが、銀行によって違います。銀行によって融資基準は異なるので、一行落ちたからといって、他のところも落ちるわけではありません。

 

さて、返済負担比率の話に戻りましょう。
年収400万円に対して年間の住宅ローン返済額が100万円の場合、負担比率は25%。大体いけそうですね。けれど、カードローンの返済やカーローンの返済がその他に年間50万円あるとします。すると、年間返済額は合計で150万円。400万円の37.5%になります。この場合、融資をうけることは難しくなるでしょう。他の借入を返済するなどして、年間の返済額を圧縮する必要がありそうです。

 

10・親から資金援助は受けられる?贈与について考えてみる。


住宅購入に際して、貰えるものは貰っておきたいところです。住宅購入に関して言えば、一定額まで贈与税は非課税となります。相続対策にもなるから、と親を説得したいところです。
住宅を購入する年によっても非課税枠が異なるので注意が必要です。

対象者(受贈者)の要件は20歳以上であること(贈与をうける年の1月1日において)、合計所得が2000万円以下であること。

詳細:国税庁https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm

 

11・住宅ローン商品の種類


住宅ローンと一口にいっても、様々なものがあります。
金利で言えば、固定金利と変動金利。固定金利の中には、3年固定・5年固定・10年固定、全期間固定などがあり、保障でいえば、三大疾病保障つき・八大疾病保障つきなど。
リフォームローンやリバースモーゲージなどもあります。

二人で住宅ローンを組むことができるペアローンなどもあります。共働き世帯は利用を考えたいところです。

 

12・住宅ローン利用で使える政府の優遇策


住宅購入は景気への影響も大きいので国民の住宅購入を促進するために政府は様々な優遇策を打ち出しています。

 

住宅ローン減税


住宅ローン利用者の金利負担を軽減するために導入された制度。年末時点の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます。所得税で控除しきれなかった場合には住民税から。
平成26年3月までは200万円(20万×10年)であった最大控除額も消費増税と伴に拡充され、平成26年4月から平成31年6月まで400万円(40万×10年)に。
詳細:財務省https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/063.htm

 

すまい給付金


消費税増税の負担を軽減するために導入された制度。現金が給付される。期間は平成26年4月から平成31年6月まで。
収入によって給付金額が変わる。
詳細:国土交通省http://sumai-kyufu.jp/

 

住宅エコポイント


一定の省エネ性能を持っている住宅の新築・エコリフォームにポイントが付与される。ポイントは様々な商品に交換できる。この間親戚のおじさんがリフォームして、ソファをもらっていました。うらやま。
詳細:国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr4_000046.html

 

13・住宅購入と消費増税

前回消費増税前に駆け込みで住宅購入をした人(私?)も多いようですが、以上のように住宅購入は景気に大きな影響を及ぼすものであるため、政府が様々な優遇策を打ち出すものです。
消費増税のため、焦って住宅購入を決めるのではなく、自身のライフプランや資金計画を立てて、住宅購入時期を決めることをお薦めします。

 

14・固定金利と変動金利の違い。


固定金利はその期間中返済期間中は金利が変わらない仕組みのこと。つまり、その期間は返済額も固定。
変動金利は市中の金利情勢に合わせて金利が変わる仕組み。つまり、返済額も変動する。

固定金利の期間が3年や10年の場合、その期間が経過した後に、再度金利プランを選びなおすことになります。全期間固定の場合は、返し終わるまでずっと同じ金利・返済額。最も予測がつきやすいプランです。

 

15・商品を選ぶコツ。


年収が高い場合や預貯金が多い場合には、変動で借りるといいでしょう。金利が急騰した場合にも慌てることなく返済ができます。そうでない場合は、固定金利で借りた方が、将来の金利急騰リスクに備えることができます。もしくは、ミックス(変動金利と固定金利)を組み合わせたものを利用すれば、リスクの分散につながります。

 

16・ネット専業銀行とその他銀行の違いとは?


ネット専業銀行とは実店舗を持たない銀行。ネットだけで事業展開をしています。その他銀行は、様々な地域に店舗を構えています。

 

ネット専業銀行の特徴としては、預金金利は高く・貸出金利は低い、ということが挙げられます。実店舗を持たないため、人や建物などのコストが少ない分、顧客に還元できる部分が大きいということ。

 

ネットに抵抗がない場合には、ネットで借りたり預けたりした方が割がいい場合が多いでしょう。あれこれ相談しながらやりたい人は地銀やメガバンクを選ぶ方がいいでしょう。ただ、この間最寄りの地銀に相談に行ったところ、「ネットから申込みすればお得ですよ」と案内されました。地銀などでもネット方面には力を入れているため、どっちを選ぶにしてもネットを利用した方がいい場合もあるようです。

 

17・住宅ローンと保険。


住宅ローンを利用すると殆どもれなく団体信用生命保険なる保険がついてきます。例外もありますが(フラット35など)。
団体信用生命保険(団信)は、契約者が死亡したときや高度障害になったときに、保険金が下り、住宅ローン残高がゼロになるというもの。団信に加入した時は(住宅ローンを利用した時は)既存の保険契約を見直しましょう。

 

死亡時の保険金が5000万円の保険に入っているとします。そして、3000万円の住宅購入をした場合、既存の保険金はざっくり言って、3000万円削って2000万円にしてもいいはずです。(と私は思います。)まあ、こんな感じで保険は随時見直していきましょう。2000万円の保険金も、子どもが巣立った後はもっと圧縮できそうです。

 

ちなみに、住宅ローンは団信以外にも、八大疾病や介護保障などをつけることができる銀行もあります。
八大疾病は、三大疾病[ガン(上皮内ガンを除く)・急性心筋梗塞・脳卒中]および5つの重度慢性疾患[高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎]に備えるといったもの。不安な人はこちらも検討してみてもいいのではないでしょうか。

もちろん、八大疾病などは、普通の保険でつけてもいいもの。住宅ローンに付帯させるメリットは、金利に上乗せで保険料の支払いとなるため、いちいち保険を見直すことなく残高が減るにつれて保険料を削減できることでしょう。

 

18・借りたあとのこと。


借りたあとはボチボチ毎月返済していけばいいだけです。うっかり使いこまないように、給振口座で給料日引き落としにしておけば間違いありません。

 

19・繰上返済


繰上返済はどんどんしていきましょう。繰上返済には手数料がかかる銀行とかからない銀行があります。
手数料は定率のところや定額のところも。定率であれば随時入れていきましょう。定額の場合は、ある程度溜まってから一年に一度返済するというのもいいでしょう。

 

20・住宅ローンと教育資金。


教育もお金がかかる分野です。なるべく子どもが小学生のうちにお金を貯めて住宅ローンの返済を進めたいものです。ローン支払いだけでも先に済ませるなど。
教育費は学資保険で備えると言うのも手です。学資保険は返戻率が高いものを選ぶようにしましょう。保障少な目で。保障は共済などで学資保険とは別に備えることをお薦めします。

 

21・住宅ローンと老後資金。


老後資金も用意しなければなりません。いまどきの人は年金をあてにできません。
そのためにも、繰上返済頑張っていきましょう!

 

22・いざとなれば借り換え(乗り換え)すればいい?


金利が大幅に下落したときなどは、借り換えのチャンスです。ただ、現在の金利情勢(2015年6月)で借りた人は、今後住宅の借り換えチャンスが来るとはあまり思えません・・・。


住宅ローンを借り換えるときには、抵当権設定し直しのための登記費用、事務手数料などがかかってきます。金利水準だけを見れば、借り換えた方がお得と思われても、もろもろの費用込みで考えると必ずしも得にならないことも多いものです。
一般的に借入残高が1000万円以上・金利差が1%以上・返済期間が10年以上の場合にのみメリットがあると言われています。現在借入を行っている人で借り換えを検討している人はこの数字を参考にしてください。