D'ac

元銀行員。子育てられ中。

日本がどれだけ危ないか。政府がどれだけ楽観的か。日本の財政問題についてわかりやすく書いてみる。

22日に政府は経済財政諮問会議に2020年度までの財政健全化計画を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の素案を提示。そこでは、2018年度に基礎的財政収支の赤字をGDP比で1%程度とする中間目標と一般歳出の抑制額に目安が掲げられた。

 

日本の財政問題に対するとりあえずの方針・回答が示されたようです。

 

まあ、こんなの書いても、みんな読まないよね?

 


また「よくわからない」って言われるのがオチ。ということでザックリ・カンタンに説明していきたいと思います☆ だから、ページを閉じるのはもうちょい待っておくれ。

 

今の日本の政府方針を一家のお父さんに例えてみる。

大丈夫!大丈夫! おれ、昇給するし☆なんたって給料右肩上がりだし? 俺って超イケてるから!

 

借金の金利?上がらないよ!上がっちゃったらヤバいけどね。人生詰むかもしれないけどね。老後費用も医療費もなくなっちゃうかもね。

 

でも、そんなこと気にしてどうするのさ?そんな不確定な未来のことばかり考えてないで楽しくいこうよ!

 

あ、先月お給料上がったから、ちょっとお小遣いアップしときたいな。スーツも買い足しておこうよ。返済?大丈夫だよ!来月はもっと上がるから!

 

まあ、こんな感じ。グーで殴りたい。

 

財務省によると日本の借金はいまや国と地方分を併せると1009兆円と1000兆円を突破。
GDP比でいうと230%で世界一。ワーオ。世界一イイネ!


税収を歳出が上回るという異常な事態が恒常化している。まあ、つまり、給料よりも毎月使っているということ。そして足りない分は借りているということ。普通の家庭だったらとっくに破産してるよね。

 

というのが日本の財政の現状です。


これだけ押さえておけば、まあいいかな、と思います。

ということでマンガでも読みませう。

 

peticonbu.hatenablog.com

 

もうちょっと詳しく知りたい人は続きも読んでいってね。

 

1・1000兆円を実感してみる。


正直1000兆円の借金と言われてもピンときません。
ということで1000兆円について考えていきましょう。
1,000,000,000,000,000
ゼロ何個あるかな? コツとしては、1兆は100万円の二乗。それが1000個って感じです。
100万円のゼロは6つあるので、全部でゼロは15個!

 

大きい数字について考えるときには、ゼロ3個ずつで区切って計算するようにしましょう。
1,000,000 これが100万円。
1,000,000,000 100万円が1000個あつまると10億円
1,000,000,000,000 10億円が1000個あつまると1兆円(100万円が100万個でもいい)
この考え方の癖をつけておくと、色々な数字の取扱いが楽になります。

 

では、実践!
年収500万円の人が何人いたら、一年で借金を全部返せるでしょうか。
となれば、ゼロを6つのけて計算。
1,000,000,000÷5=200,000,000人!
なんかゼロ除けてもすっきりしない・・・けど。まあ、そのくらい1000兆円は大きい。

 

人口が1億として、一人あたま1千万くらいの借金になります。
リンゴ一個100円が10兆個。

うーん。やっぱり実感できないね!!要するにそのくらい大きな額っていうこと!
まあ、気を取り直していこう!

 

2・新しく借りないと生活はできない? PBとはなにか?


PBというのはプライマリーバランスのこと。プライマリーバランスは基礎的財政収支のこと。横文字にしても漢字にしても難しい。ちなみにプライベートブランドとは別物。

 

お給料で生活費が何とかまかなえてて、新しい借金はつくらなくても何とかやっていける。例え、一円も返せなくても・・・。それがPB(プライマリーバランス)が黒字ということ。PBが赤字っていうのは、給料では生活できなくて新しく借入をしている状態のこと。

 

黒字だったら何とかいい、なんてそんな控え目な目標でいいのか。ちょっとずつでも返済していかなくていいのか?なんてことは訊くだけ野暮。いいか。借金返済をしすぎて、自己投資しなければ成長はないぞ!飲み会も立派な自己投資なんだ!といって増えた税収は使いこむ。それが日本。

 

3・借金でどうやってしているの?


国が借金、と聞いてもピンとこないかもしれない。国の借金の方法は国債発行。国債を発行してそれを購入するひとたちからお金を受け取るというわけ。もちろん、借金なので返す必要がある。国債を持っている人は満期時にお金を受け取ることができます。

 

もし、あなたが国債を持っていれば、あなたは国にお金を貸していることになります。国が破産するとかえってこないかもね

 

銀行預金がある場合も、多くは国債購入に充てられています。国が破産するとかえってこないかもね。


私のように国債も銀行預金もなければ安心して眠ることができます・・・。泣いてなんかいないんだから!

国債にはいろんな種類があります。普通国債に財政投融資特別会計国債。さらに建設国債や赤字国債、借換債など。また書けたら書いときます。

 

4・誰が貸しているの?


さっきも書いたように、あなたが国債を持っていれば、あなたも債権者。銀行預金があれば間接的にだけど貸していることになります。

 

主に保有している部門としては銀行・信金がトップで30%ほど。あとは、保険会社なども。注目したいのが日銀。日銀が日本の国債を25%ほど保有しています。詳しく知りたい人はこちらへ。
http://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

海外部門はあまり目立たない。(ここ大事)

 

 

5・日銀が結構国債持っているよね!

 
さっきも言ったように、日銀が日本の国債を25%も持っています。これは注目しておきたいところ。というのは、日銀は日本円札を発行しています。つまり、日銀が政府にお金を貸してくれたら、どうやら日本の借金はなくなりそう☆やったね!

 

ちなみに、この日銀による政府の借金の穴埋めは財政ファイナンスと言われます。過去に日本はこの財政ファイナンスに手をだし、年率300%にも及ぶハイパーインフレを引き起こしました。その反省から、財政法5条で中央銀行の直接の国債引き受けは禁止されています。

 

じゃあ、なぜ日銀が国債をそんなに持っているのでしょうか。それは直接引き受けではない形で購入しているから。政府は一旦国債を銀行などに買い取ってもらっています。そのあと、日銀は銀行などから国債を買い入れしています。だから直接引き受けではない! なんか怪しい気がするけれど、こんなロジックでございます。

 

日銀が国債を引き受けてくれるから、銀行は国債を買う。例えそれがマイナス金利(損をする国債)であっても。損は日銀が回収してくれるから。買取額よりいい値段で買い取ってくれるからね。

 

ここでちょっとだけマイナス金利の説明をしておきます。

 

100円で償還される(返還されるってこと)債券を90円で買い取ったら、10円得をする。これがプラスの金利
でも、100円で償還される債権を105円で買ったら、償還時に5円損することになる。これがマイナス金利
でも100円で償還される105円で購入した債券を日銀が110円で買い取ってくれたら5円プラスになる。これが「マイナス金利でも損をしない」ということの意味。

 

日銀が損を回収してくれるから、銀行などはマイナス金利での債券発行を引き受けることが出来ます。まあ、最終的に損をするのが日銀だったら、その負担は誰が負うのか?いうまでもないよね。私達です。

 

この日銀による大量の国債買い付けのことを量的金融緩和という。日銀が市場にお金をじゃぶじゃぶ注ぎ込むことで人々のマインドを変えよう、という試み。

 

6・軽くインフレにならないと困る。


日銀の金融緩和の話になったところで、日本の金融政策の方向性についても簡単に触れておきましょう。
日本は、現在量的金融緩和をおこなっています。(量的金融緩和と質的金融緩和の違いについてはまた)

 

これは、日銀が市場にお金を流し込むことで、長期的に物価が上昇するというマインドを人々に埋め込むという試み。日銀は物価上昇2%を目指しています。
日本経済は長くデフレに苦しんできた。デフレは債務者にとっては過酷な環境。つまり、日本政府としては何としてもデフレを脱却したいということになります。

 

7・日本もギリシャみたいになっちゃうの?


政府債務のせいで問題となっているギリシャ。改革を受け入れてEUから支援を受けることができるのか、現在も協議中と思われます。会議は紛糾しているようで。

 

日本にとっても、これは対岸の火事ではないでしょう。よく「ギリシャの債務の多くは海外部門に保有されていたから!」なんて言って日本とは事情が違うという声も聞かれますが、でも、日本の人口はどんどん減っていく。これからは海外の人たちにもお金を借りないとやっていけなくなる。

 

「いるものはいるもん!使うもん!」なんてバブル期みたいなこと言ってたら、にっちもさっちもいかなくなりそうです。

 

とまあ、日本の財政について語っていたら長くなってしまいました。読んでくれた人は本当にありがとう!

 

6/24 15:30追記~~~

開設2週間のブログがこんなに読まれるとは思わず、驚いています。

ちょっと説明が雑なこと等お詫び申し上げます。

 

日本の財政についての見解は反対意見もあり、このように単純な簡略化した形で書くのはいけなかったかもしれません。

ただ、すべての見解を丁寧に説明するだけの時間が不足していることから、丁寧な説明や反対意見についてはこちらの本等を参考にしていただければと思います。

大衆向けに書かれた本で読みやすいと思います。

アベノミクス批判――四本の矢を折る

 

アベノミクスの逆襲

 

世界が日本経済をうらやむ日

 

あと、今週のエコノミストが財政をテーマに特集を組んでいます。

エコノミスト 2015年 6/30 号 [雑誌]

 

リフレ派と言われる方々に対して、私がまるっきり反対意見を持っているかと訊かれますとそうとは言えません。ただ、それを判断するだけの見識はありません。専門家たちの間ですら意見が割れていることです。これらを参考にみなさんがどう判断されるかは各自に任せたいと思います。

 

以上雑で甚だ申し訳ありませんが、追記とさせていただきます。

 

追記の追記

より深く知りたいという方は経済の専門書をよむことをお薦めします。

私が学生時代に読んだのはマンキューです。

マンキュー経済学 I ミクロ編(第3版)

マンキュー経済学 II マクロ編(第3版)

 

 

ただ、私は法学部出身で経済学を専門とはしていませんので、もっとよい本がありましたら教えてくれると嬉しいです。