D'ac

元銀行員。子育てられ中。

原油安についてザックリとまとめてみたよ!!

昨日の経済の読み方でピックアップした原油安について簡単にザックリとまとめていきます!!

 

ではスタート!
今、株が大幅に下落したりして、にわかに市場があわただしくなっています。
株が下落したのは皆さん割とご存知かと思いますが、原油も下落していっていることはご存知でしょうか?
ここでは、原油価格の下落の理由やその影響、今後の見通しについてお話していきます。

 

どうして原油が安くなっているの?

ものの価格がどう決まるか知っていますか?
そう、需要(欲しい量)と供給(売る量)の関係ですね。欲しいと思う人よりも売りたいと思う人の方が多ければ、ものの値段は下がります。逆に、売りたいと思う人よりも欲しいと思う人の方が多い場合には、ものの値段は上がります。

 

今回の原油安の第一要因はここ。
つまり、「需要<供給」になったので、価格が下落したというわけです。
欲しい人が減って、売りたい人が増えている。これが原油安の原因となっているわけです。

 

どうして需要(欲しい人)が減ったのか。

この間の株式市場の落ち込みが関係してきます。
株式市場の落ち込みはどうして起こったのか。中国の景気減速懸念によるものですね。
つまり、中国の需要(欲しい人)が減る。そして、その影響で周辺のアジア諸国も原油の需要が落ち込むだろう。そういう風に考えられています。

 

 

どうして供給(売りたい人)が増えているのか。

一方、供給は増えています。
シェール革命、という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
アメリカのシェールという頁岩から原油を抽出できるようになった一連の革命を指します。
アメリカが原油の消費国から産出国に変わった瞬間でした。

 

そして、中東。サウジアラビアやイラクの6,7月の生産量は過去最高水準に。

 

それからもう一つ。イラン産の原油が市場に放出されるだろうと言われています(まだですが)。

 

そんな感じで供給は増える一方というわけですね。
私が子どものころは「30年もしたら石油は枯渇するぞ!」なんて言われていたような・・・。 

 

 

原油安の要因補足1

これで、原油安の理由は解説終了としたいところですが、ちょっとだけ補足させてください。
原油価格は需要と供給の関係で説明できると言いました。これは間違っているわけではなく、確かにそのとおりなのですが、厳密に言うと、「需要が減るだろう」「供給が増えるだろう」という予測に則って市場で売り買いされるから、原油安は起こったと解説する方が正しいです。その予測が外れていた場合には、実態に合わせて最終的には価格は調整されるわけですが、短期的には、実態ではなく、思惑(予測)で動くということを頭に入れてもらえたら、と思います。

 

 

原油安の要因補足2

需要と供給の関係。それに伴う各人の思惑で、原油価格が安くなっているとの話をしました。


実は原油安をもたらす要因はもう一つあります。
それが、市場のお金の流れです。


原油マーケットは市場の投資(投機)対象ともなるので、純粋な需要・供給(思惑つき)の関係だけでは説明できないところもあります。


世界中で広がる量的緩和。市場にお金がじゃぶじゃぶ流し込まれることですね。この余ったお金が原油相場にも流れ込んでいました。今、アメリカが利上げを行い、このじゃぶじゃぶの資金を元通りにしようとしています。つまり、原油市場からも資金が引き上げられるということになりますよね。こういった市場ならではの要因で原油価格が左右されることも頭にちょこっと入れておいてください。

 

 

原油安の影響は?

日本は産出国ではなく、純粋な消費国(輸入国)なので、一般家計の原油安メリットは大きいはずです。本来であれば。

 

ただ、今回の原油安のメリットはあまりない模様。理由は簡単。円安です。
円相場が100円から120円ほどの下落した中での原油安メリットはあまりないのかな。ガソリンも思ったほどには下がってないしね。円高の時の方が安かった。みんな記憶にあるよね。


日本は原油産出国から距離があるので、輸送費がかかったり、税金もかかったりするので、原油安メリットが一般家庭に届くにはなかなか難しいものがある。

 

その他様々な製品価格上昇も、原油安メリットを私たちに感じさせない要因になっている。

 

企業はどうかというと、悲喜こもごも。
原油権益や在庫を抱えている企業、たとえば、商社(例えば三菱商事)とか石油元売り(代表的なところで昭和シェルや出光)などは原油安で損失を抱える公算大。
逆に、純粋に輸入に頼っているような企業、たとえば電力会社だったり、輸送会社(ANAとか日本郵船)とかはメリットが大きい。

 

 

日本以外の国でいうと、一番影響が大きいのは産出国。
特にアメリカのシェールオイルは産出コストが高いので、原油安で採算が取れなくなる油田から事業者が撤廃するという話はよく聞く話で。
中東などの原油輸出で国家財政を支えているところなんかは、財政赤字なんかも避けられなくなってくる。
売り手としてはかなり厳しい事態に。

 

じゃあ、石油の消費国(輸入国)であれば大丈夫かと言われるとそうでもない。
アメリカや中東でオイルマネーが減少しようものなら、そこから政情不安だったり、他の国への投資資金が引き上げられたりして、結局影響は世界中に波及してしまう。特に新興国では、オイルマネーの投資資金が引き上げられると致命的になる可能性も否定できない。

 

中東での治安悪化はイスラム国などの伸長を許す事態につながる可能性もある。・・・逆に盗んだ原油が売れなくなって、弱体化する可能性もある。この辺りは難しいところだね。

 

 

今後の原油価格はどうなるの?

これはちょっとみなさんに判断していただきたく。
ヒントとなるであろう、原油安になる要素と原油高になる要素を各々復習をかねてピックアップしておきます。

 

原油安になるぞ!

・アメリカのシェール増産。
・中東(OPEC)増産。
・利上げによる資金引き上げ。
・中国や新興国の景気減速による需要減退。

 

 

原油高になるぞ。

・アメリカのシェールが減産。
・中東の原油も減産。
・利上げが行われず、再度投資(投機)マネーが原油市場に。
・中国は大丈夫(?)

 

 

回答・私見

アメリカのシェール増産はちょっと怪しいものです。採算が取れず撤退する事業者がどのくらいいるのかちょっと測りかねます。中東の方は、シェールつぶしをしたいのであれば、増産するでしょう。あんまり価格を引き下げると自分たちの首も絞めかねないので、その辺のさじ加減は難しいところです。

 

利上げについては、どうでしょうね。そろそろしとかないとヤバいのかなというところで、私は年内にされると思っているのですが。中国発の市場不安も、世界のじゃぶじゃぶマネーを元に戻す過程で起こりうる危機として織り込み済なはず・・・ですよねえ。イエレンさん?(アメリカのFRB(中央銀行)議長)


中国の景気減速は当然するでしょう。だって、この危機はリーマン以来の過剰投資の揺り戻しだからです。
借金をした家計が後から長い間消費を抑えざるを得ないのと同じで、過剰投資にはその縮小過程はつきものです。だから、中国が減速するのは当然ですよね。

 

ということでもうしばらくは原油安は続くということで一票。
家計的には、ガソリンや物価が下がってくれればありがたいのですが、それ以上の影響を考えると、簡単に喜べるものではないようです。物価下がると、また日銀が緩和をするかもしれないし・・・。

 

 


ということで今回の説明は以上です。
ちなみに、今回の「原油安の要因」はそのまんま株式市場にも当てはまります。
需要と供給、各人の思惑、そして、投資(投機)としてのマネーゲームですね。

 

ただ、原油は株式と違って、実際に使われ消費されるものですから、株式相場よりは身近な存在なのではないでしょうか。


株価とかはニュースとかでも毎日注目されますが、原油や長期金利(ぶっこんでみた)をいつも気にしている人は少ないように思います。けれど、そういった指標も生活に直結したりするわけなので、コレを機に毎日ちょっとだけでも気にかけてくれると嬉しいです。

 

ということで以上!!

 

こんなのもあるよ。

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