D'ac

元銀行員。子育てられ中。

インフレ・デフレ・低インフレとは何か。問題点と現状とを分かりやすく解説する。

堅いタイトルですが、いつものごとく、夫に説明する経済シリーズです。

 


インフレ・デフレ、そして、近年の新たなキーワード・低インフレ(ディスインフレ)。
どれもこれもよく聞くキーワードながら、それが一体どういうことなのか、そしてその問題点を把握できていない人も多いのではないでしょうか。

 

いつものごとく、ラブライバーで最近携帯に変なアニメ絵を保管していたことが発覚した夫のために分かりやすく説明していきます。

 

インフレ(インフレーション)とは?

どんどん物価が上昇していくことを指します。
りんご一個=100円が10000円になるような事態は、ハイパーインフレーションと言われます。もっと極端なこともありましたね。ジンバブエとか、戦後日本、ドイツとか。
普通に言って、そこまで極端ではないインフレーションは望ましいとされます。

 

「物価が上昇する」と言ったけれど、正確には「通貨価値が下落すること」と言った方がいいかもしれません。
100円で買えていたものが1万円出さないと買えないというのは、端的に言って、1円の価値が下がったということを意味するので。ざっくり通貨価値は100分の1ということで。100万円も1万円の価値しかなくなっちゃうよってこと。

 

 

インフレの何が問題か?

今各国中央銀行が物価上昇率の目標を2%に据えているように、インフレそれ自体は悪ではありません。
もちろん、ハイパーインフレとなると、経済的な安定性が損なわれるため、望ましくないのですが。
歴史的には、各国中央銀行はインフレを収めることをその最重要課題としていました。

 

そうは言っても、普通のインフレ(物価上昇)でも悪いインフレというものがあります。
それは、供給側の要因で物価が押し上げられるインフレです。
例えば、円安ですね。円安で物価が上昇すると、賃金が上がったわけでもないのに、モノが高いから辛い。結果、モノは売れなくなる。他にも、夏の長雨による野菜の生産不良。今年は本当に野菜が高い。
こういった供給側の要素で物価が上がるインフレは良くないものとされます。だって、買えないもの。
この供給側の理由によるインフレを「コスト・プッシュ・インフレ」と言います。

 

逆に、賃金が上がって、欲しい人(需要)が増える結果としてのインフレはいいインフレ。賃金が上がっているのだから、多少の物価上昇も大丈夫、ってなる。
需要側の理由によるインフレは「ディマンド・プル・インフレ」と言います。


テストに出るよ! なんかの。

ということで、次はデフレの解説にいきます!

 

 

デフレとは何か。

デフレ(デフレーション)とは、物価上昇率がマイナスに落ち込むことです。
モノがどんどん安くなる。
ま、今の人たちはデフレに慣れ親しんでいる人ばかりだと思うので、そんなに詳しい解説はいらないかな?

 

インフレと同じく、貨幣サイドからみてみると、通貨価値が上がるということ。

 

デフレの何が悪いのか。

一番ありがちなのが、消費の先送り。
新しいパソコンが売り出されても、「どうせ、来年には半値でしょう?」とか言って買い控えが起こる。結果、需要が先送りされることによって経済が停滞してしまう。
どんどん新しいものを開発して回収しよう! という投資意欲がそがれる。

 

もちろん、いいデフレもあって、それは例えば技術革新でモノの値段が安くなること。
近年アメリカのシェール革命で原油価格が下がっているけれど、これもいいデフレの一つ? この辺りは見解が分かれる。


一般消費者の私たちとしてはガソリン価格の下落は大変ありがたいけれど、日本のインフレ率を損なうといって、問題視している人たちもいる。

 

 

インフレ・デフレと貯金と借金の話。

あえて、上では説明しませんでしたが、インフレ・デフレが一般家計に及ぼす影響は「最近食費が高いわ」といった次元の問題にはとどまりません。

 

インフレとは「通貨価値が下がることである」と言いました。
つまり、今日している貯金が実質価値で言うと、目減りしていくということです。
100万円持っているのに、1年後は1万円の価値しかなくなる、ということです。これは大変ですね。
ま、そこまで極端なインフレでなくても、価値はじりじりと下がっていきます。

 

デフレとは「通貨価値が上がること」です。
インフレとは逆に貯蓄の実質的な価値が上がっていきます。
ということで「デフレ時代における一番いい資産運用は預金であった」と言われるわけです。
デフレ時代コツコツ預金していた皆さまおめでとう。何かおごってください。

 

これだけだと、どうもデフレの方が私達にはよさそうに見えます。

 

ところが借金に目を向けると話は変わってきます。
100万円の借金がある場合、通貨価値がじりじり下がった場合(インフレ)、返済負担がじりじりと下がっていくことになります。
インフレでは賃金も上昇するので、それも借金返済にはプラスに働きます。

 

逆に通貨価値がじりじりと上がった場合(デフレ)、返済負担もじりじりと上がっていきます。
デフレ下で住宅ローン返済をしていた方々は本当、お疲れさまです。

 

こんなことから、「インフレは債権者から債務者への富の移転、デフレは債務者から債権者への富の移転」と言われるわけです。

 

これだけ聞くと、「じゃあ、私、借金ないからデフレの方がいいわ」なんて思われる方も出てくるかもしれません。確かに個人レベルで言うとそうです。でもお忘れじゃないですか? 膨大な国家債務を。


ということで、やっぱりインフレの方が良さそうといったものです。

 

それにデフレ下では賃金も抑制されます。よくて賃金据置。
日本では賃金引き下げが至難の技ですから、デフレ下の経済では多くの正社員が非正規雇用へと置き換えられていきました。

 

 

低インフレとは何か。

低インフレとは、物価上昇率が低下することを指します。デフレじゃない。一応インフレ。だけど、その伸びは十分じゃない。そういう状態。
英語では「ディスインフレーション」と言われます。

 

今、各国中央銀行は物価上昇率目標を2%としているけれど、それに手が届かない程度のインフレ水準ということになります。

 

低インフレの何が問題なのか。

低いインフレ率を放置することでデフレに落ち込みやすくなるということ。
また、低いインフレ率であれば、賃金上昇が十分ではなく、国家債務の負担も厳しいということなどが問題点として挙げられます。

 

 

以上の説明で、インフレ・デフレ・低インフレの概要及び問題点は把握できましたでしょうか。

 

ちょっと説明がながーくなってしまいましたので、簡単にまとめておきます。

 

インフレ・デフレ・低インフレのまとめ。

恋に落ちるとインフレになります。通貨価値が実際よりも大幅に下がるんですね。
その結果、購買意欲が10倍くらい(当社比)になります。
自分に、そして相手にかける費用もグレードアップ。
最終的には、結婚式というバブルを引き起こし、婚約指輪も高級ブランドものを用意したりします。

 

結婚して1年くらいたつと、バブルがはじけてデフレに陥ります。
通貨価値は恐ろしいほど高くなり、夫婦のデートはあってもせいぜい180円のかけうどん。誕生日はコンビニのプリンになります。
お互いがお互いのことを結婚前に投資した費用に足らない物件だと思い始めます。
そうして、「なんで、この生活を続けているんだろう」と自分自身の判断に自信が持てなくなっていきます。

 

新たな旅立ち。

このままではいけない、そう考え夫婦は再出発をきります。
話し合い、思いやりを取り戻す過程ですね。これが、低インフレです。
各々、自分たちの投資はゆっくりではあるが着実に実を結んでいると実感できる期間です。
けれども、ちょっとしたはずみでデフレ期に陥るかもしれない。そんな危険とも隣合わせの時代となります。

 

 

どうでしょうか? 理解していただけましたでしょうか?
え? 分からない? んー。じゃあ、もうちょっと簡単にします。

 

まとめ。

インフレ
物価がどんどん上昇する状態。通貨価値がどんどん下落する。
借金がある人は実質負担が減るので嬉しい状態。

デフレ
物価がどんどん下落する状態。通貨価値がどんどん上昇する。
借金がある人は、実質負担が増えるので辛い。

低インフレ
もうちょっと・・・。あと少し、頑張れ! そうだ、そこだ!!

 

 

以上です。