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D'ac

元銀行員。現在:写真撮影・加工。金融ライター・翻訳。子育てられ中。

ついにマイナス金利。預金は大丈夫?住宅ローンもマイナス金利になるの?

経済 マイナス金利
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昨日の29日、日銀はついに金融緩和策としてマイナス金利を採用。

 
黒田流サプライズは市場に大きな影響を与え、株、円相場ともに乱高下しました。
さてさて、マイナス金利と聞けば気になるのが、今後の私たちの預金金利、住宅ローンなどを代表とするローン金利ですよね。


ということでここではマイナス金利の意味と今後どうなるかについて簡単にわかりやすくまとめていきます。

 

マイナス金利とは?

以前、日本が既にマイナス金利になることがあるということ。
そして住宅ローン金利も低下していることを書きました。
こちら。

peticonbu.hatenablog.com

ここでのマイナス金利は国債のマイナス金利でした。
ちょっとややこしいのですが一応解説しておきます。
飛ばしても大丈夫なので、国債のマイナス金利はどうでもいいという人はその次に行ってください。

 

 

―国債のマイナス金利とは?

国債は市場で売買されています。
国債を購入した人がその売買を収益化する方法は2通り。
一つは、国債自体につく利率(クーポン)を受け取ること。
国債というのは国の借金ですからね。
お金を貸した人は利息を受け取れるというわけなのです。
もう一つは、国債を買った価格よりも高く売るという方法。
98円で買って100円で売れば2円の利益が出ます。
国債の利回りというものは、①国債そのものの利率と②売買の差額。この2つの要素を合わせて計算されます。
国債そのもので毎年利息を受け取れるとしても、高値で買うことになったら?
トータルでは利益が出ません。
そういう状態のことをマイナス金利といいます。
普通に考えたら利益がでない債券なんて買いません。
ただ、機関投資家やら、マーケットメーカーなど、損をしても国債を買わないといけない人がいる。だから、マイナス金利が成立するわけです。
*日銀が買ってくれるから、マイナス金利の国債を買い取っても大丈夫という状態もある

 

今回日銀が発表したマイナス金利の中身。

銀行は日銀にお金を預けています。
日銀は銀行の銀行、というわけです。
普通であれば、銀行の日銀口座には金利が付与されます。
だから、銀行は運用先がない場合には日銀に預けていたらいい、ということになる。
預けているだけで利息が受け取れるのだから。
最近、量的緩和で銀行にはお金がいっぱい溢れていたのですが、銀行は貸出先を見つけられない。
だから、日銀にお金を積んでいました。
これをブタ積み状態と言います。別にこの用語、どうでもいいです。言いたかっただけ。

 

せっかく量的緩和をしていても、日銀にお金を寝かしておくだけだったら、民間にお金が回らない。
「そんなら、銀行が日銀にお金を預けたくないようにしたらいいんじゃない?」
「それって何をしたらいいのかな?」
「日銀にお金を預けているだけの金融機関から手数料取ったらいいんだよ!」
これが、マイナス金利というわけです。

 

今までの日銀の量的緩和との整合性。

マイナス金利を導入するまでは日銀は銀行から国債などの資産を買い取ることで金融緩和を進めていました。
銀行は日銀に対して国債などの債券を売る。そしてお金を受け取るわけです。
日銀は銀行にその受け取ったお金を民間に貸し出すことで景気が良くなることを期待していました。

でも、銀行は手元にお金が増えても、そんなに貸出先を見つけることができません。
だから仕方なく、日銀から受け取ったお金を日銀に預けることにしたんですね。
だって、預けているだけで0.1%は利息を受け取れるもの。

日銀はそれでは意味がないと思いました。
ということで、日銀にお金を預けている銀行から逆に手数料(利息)をとることにしたわけです。

マイナス金利のおかげで銀行は貸し出しを増やし、民間にお金が多く出回り、景気は持ち直しました。
めでたしめでたし・・・?

 

マイナス金利はうまくいくか?

まあ、そううまくはいきません。
まず考えられる問題が国債の需給逼迫。
つまり、国債が品不足になる可能性が高くなりました。
だって、国債を日銀に売ってそのお金を日銀に預けると手数料を取られるとなると、銀行は「現金を増やすよりも国債を保有しておきたい」と思うでしょう。
日銀がずっとやってきた資産買い入れが行き詰る可能性が出てくるわけです。

 

また、マイナス金利導入により銀行経営も危なくなる可能性があります。
よい貸し出し先が見つからず、日銀に0.1%の手数料を払った方がいいと判断する可能性もあるわけです。
その場合、経営が圧迫された銀行は更に融資を絞るかもしれません。

 

 

一番大きい効果はアナウンスメント効果。

マイナス金利にした一番大きい効果は、「マイナス金利にするよ」ということで為替相場や株式市場にアナウンス効果をもたらすことです。
「日銀は景気浮揚に本腰入れているよ」
「日銀は円安を支持するよ」
そういうことを言外に伝えるわけです。
それを受けて、昨日は円も一気に120円まで安くなりました。

 

ちなみに、表立って「円安万歳」とは言えません。
為替戦争になります。
「ん~。まあ、そういうわけじゃないんだけど。円安にもなっちゃうよね? うん。まあ、そういう効果もあることはあるんだけど」と言った感じでのらりくらりします。

 

マイナス金利についての解説は以上のようなところで。
次は預金金利、ローン金利に及ぼす影響についてみていきましょう。

 

 

一般人の預金金利はマイナスになるか?

なかなか難しいでしょう。
銀行が日銀に預けるのは、保管先にも困るし仕方ない、ってところがあります。
でも、私たちならタンス預金しちゃいますよね?
預金金利がマイナスになると、預金は総流出なんてことになりかねません。

 

火災やら、盗難リスクを考えると、保管料として銀行に支払う・・・というのも一理あるのかな、という気はしますが。金利が低くても国債を買う、というのも選択肢の一つになるかもしれません。

 

 

住宅ローンなどのローン金利はどうなるか。

理論的には、「日銀に預けると0.1%取られるのであれば、0.025%払っても借りてほしい」ということはあり得ます。
でも、まあ、保証料やら保険金、金融機関の運営コストを考えると、マイナス金利にすることは難しいでしょう。

 

けれども、「日銀に預けていると0.1%取られるのであれば、金利が低くてもいい! 誰か借りてくれ!」という状況にはなる可能性はあります。
金利は更に下がる可能性が高い。
もちろん、誰か、というのは「信用力が高くて、貸し倒れのリスクがない優良な人(会社)」です。

 


ということで以上です。

 


とは言ってもね。金融機関の収益への配慮として、現在積まれている日銀の口座残高に対してはプラス0.1%の金利がつくことになっているので、実際のところはそんなに大きな変化は今のところ期待できなさそうです。昨日の長期金利が0.1%を割り、史上最低金利をつけたところをみると、国債の需給逼迫による金利低下効果はあると考えられるので、金利は更に下がる公算あり、というところでしょうか。