D'ac

元銀行員。子育てられ中。

住宅ローンと携帯電話の問題は似ている?長期ユーザーを優遇しろよ!という魂の叫びを聞いたので、色々と考えてみた。

昨日、住宅ローンの固定金利と変動金利が逆転したよ、という記事を書いたのですが、その中で、

変動金利の金利を下げずに、固定金利の金利を下げるのは、

 携帯の通常料金を低くせず、乗り換え割を充実させるのと、まあ、似たようなもの・・・。

と記載しました。

 
すると、熱心な読者(夫)から、「そう! そうなんだよ! なんで、携帯も銀行も長期ユーザーを優遇しないのさ!」と怒りのご意見がございましたので、彼の言い分をまとめておきます。
 
相談者:ぷちこんぶろぐ読者(夫)
属性:35年の住宅ローン返済中。
状態:俗世間のしがらみで借り換えができない。
 
携帯電話では長く指摘されていますが、長期ユーザーの費用負担が高い、という問題があります。携帯各社は、乗り換えのお客さんの借り換え負担(端末負担、違約金の費用)を捻出するために、長期ユーザーの利用料水準を高止まりさせています。本来であれば、長期ユーザーに安く提供すべきなのに、借り換えを頻繁に行う浮気症なユーザーが得をする仕組み。おかげで、長期で使いたいな~と思っても、2年ごとに乗り換えをしなくてはならない・・・という妙な状態に。
 
夫は・・・おっと、私のブログ読者の方は、その携帯の状態が住宅ローンにもそのまんま当てはまるのではないか、と考えているようです。
長期で借りている人は、そのときに結んだ契約に縛られ、高い金利を負担しなければならない。けれど、乗り換えをしている人の方が、時々の低金利を享受できるばかりか、当初の特約もあるので、相当低金利で借りることができる。その状態が携帯電話の問題と同じで、銀行も長期ユーザーに報いる必要があるのではないか。
 
・・・というわけです。
 
でも、この話、こんなに低金利が続かなければ、そんなふうに言うことはできなかったと思うんですよね・・・。
だって、途中で金利が急騰した場合には、長期固定契約のお客さんが得られるメリットの方が大きいはずです。携帯電話各社が提供しなければいけないものは回線(携帯、あんま分かんないのですが)ですが、銀行が提供しなければいけないのはお金。お金はその時々で調達コストが変わってきます(銀行はお客さんに貸すお金を他のところから調達しています)。だから、携帯と同じ次元で語るのはちょっと違うのかな、と。
 
ただ、借り換えの時にある優遇幅は多少ずるいなあ、という気はしなくもないです。固定10年で借りた場合に、10年経過した時点の金利は、10年後に金利水準が今と全く同じであっても、上がるところがほとんどです。
 
例)現在:店頭表示金利3%ー新規優遇幅2%=当初10年固定1%
10年後に再度10年固定を選んだ場合:店頭表示金利3%-継続優遇幅1%=2%
 
とこんな具合です。10年間は低く借りられたとしても、10年経過後は金利が大幅に下がっていない限りは、今よりは高い金利水準になることは間違いなし、というわけなのです。10年後は継続するより、借り換えたほうが低い金利になるのです。
ここに長期ユーザー軽視の面があるのかな、と言えるかな。どうかな。
 
むしろ、銀行が10年間低い金利で頑張っているけれど、実は結構厳しくって、当初必要な手数料とかでしのいでいる・・・という見方もできそうです。こんな風に銀行をちょっとかばいたくなるのは、元銀行員の性なのでしょうか・・・。(いえ。愛行精神はありません。)
 
住宅ローンって、だれでも利用できる簡単な商品のようですが、長期金利動向や今後の経済情勢への見通しなど実のところ結構難しい商品なんですよね。ある程度低金利で借りられているのであれば、金利水準なんか気にせず、家賃のように粛々と支払い続けた方が、心の平穏のためにはいのかもしれません・・・。
 
以上。
 
*高い金利で借りている人は借り換えてくださいね・・・。