D'ac

元銀行員。現在:写真撮影・加工。金融ライター・翻訳。子育てられ中。

イギリスはなんでEUを抜けたいの? もし、実現したらどうなるの?

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って夫に訊かれたので、久々ですが、「夫に解説する経済」シリーズ、イギリスEU離脱編スタート。

 

イギリスがEUに残留するか離脱するか決定する瞬間が迫っている!

今年(2016年)の6月23日にEU離脱を決定付ける国民投票がイギリスで行われます。どういう結果になるかはEUのみならず、世界にも大きな影響を与えます。そんなこんなで、重大な国民投票を目の前に、ポンド(イギリスの通貨)は乱高下。みんなドッキドキってわけです。

 

どうしてイギリスはEUを抜けたいのか?

さてさて、イギリスはどうしてEUを抜けたいと言っているのでしょうか。

ザックリ言っちゃうと、EUって民主的な制度じゃないんです。この問題は民主主義の赤字(Democratic deficit in the European Union)って言われる問題でイギリス以外でも広く共有されている問題意識だったりします。(詳しくは、こちらをご覧ください。

Democratic deficit in the European Union - Wikipedia, the free encyclopedia )

政治の正統性って何で担保されると思いますか? そう選挙です。(「そんなの幻想だよ?」っていうのはおいといて。)政治家が行う政治は、究極のところ「私たちが選んだのだから」というところで正統性を持ちうるわけです。でもEUはそうじゃない。
欧州議会の議員は市民が直接選挙で選びますが、欧州議会の権限は極めて限定的。そして、欧州の80%はブリュッセル(EU本部)の官僚が決定してしまうわけです。
そんなわけで、EUのどの国にも、「民主主義を自分たちの手に取り戻そう!」と主張する人たちが一定数いるというわけなのです。「ブリュッセルの勝手にさせるな」とばかりに。特にイギリスは伝統的に自主独立、ヨーロッパに寄りかからずやってきた、という意識が強いため、主権の問題(誰が自分たちを統治しているか)意識は特に強いといえるでしょう。

でも、まあ、「主権を取り戻せ」ってなんか抽象ワードで切り取るよりも、EUが決める法律とかが、イギリスとか他の国にとって不都合なことが多んいだよね~っていうのが結局のところ問題だったりします。イギリスにとって、一番いい政策をイギリスだけで考えていきたい、ってことなんですよね。

さてさて、Democratic deficit(民主主義の赤字)問題は常にあるとしても、どうして、急に今になってEU離脱論が力を増しているか、という問題とは別に向き合う必要があります。ということで次。

難民問題に対して有効な処方箋を提示できない現状

現在、EUのあちこちでEU離脱派が勢いを増すのは、まずもって難民問題が深刻化していることと切り離して考えることは不可能です。

 

不安定化する中東情勢。その間に増える難民たち。
日本と同じように少子高齢化が進む欧州にとって移民問題(難民)は避けて通ることができない課題。また地理的な面も大きく影響しています。

難民を受け入れたのはいいものの、きちんとした職と社会保障を与えることができるか。また、難民とテロリストを区別することは可能か。この大きな問題に直面し、EU諸国は次第に移民排斥といった内向きの政策をとるようになっています。そんなこんなで、EUに対する失望が増大。それが、イギリスにおけるEU離脱論に拍車をかけているというわけです。

もっと簡単に言うと、テロ怖い! 移民に仕事取られてたまるか! 移民の社会保障を十分に負担できるだけの金はないよ! って感じでしょうか。この辺は難しいので、外部からの評価は控えます…。

 

もし、イギリスがEUを抜けた場合に何が起こるのか?

大きく分けて3つの影響があると考えられます。
・EU崩壊の危機?
・ポンドが安くなる。
・企業へのダメージ。

EU崩壊?

EUを抜けた国はいまだかつてなく、イギリスがEUを離脱すれば、それが初めての事例になります。イギリスがEUを抜けた場合、他のEUに不満がある国は、間違いなく「ほんなら、オレも」ってなることが容易に想像できますよね。そんな感じでイギリスの離脱を皮切りに、他の国のEU離脱派が勢いづくことは避けられないとみられます。

ポンド安

また、イギリスがEUを抜けるに伴い、イギリスリスク、EUリスクを避けたい投資家によるポンド・ユーロ売りは避けられないでしょう。結果、ポンド・ユーロに対しての円高が進むことも予測されます。

イギリス企業にとっての不利益。

EUに加盟していれば得られる特権(税関手続きの省略など)がなくなることにより、イギリス企業にダメージとなる可能性もあります。

 

そんな感じで色々な不具合が発生しそうですが、英財務省発表によると、離脱した場合には2030年までにGDPが6%程度落ち込むと試算されています。今のところ、経済的にプラスな話はないような気がしますね。

 

 

現在のところ、離脱派と残留派、どっちが強い?

投票まで2か月を切っていますが、今のところほぼ拮抗…、よりもやや残留派が強いようです。経済面の影響を考えるならば、残留のほうが利益が多い、と判断する人が「主権を取り戻したい」離脱派より少々多いということなのでしょう。

先日はオバマ大統領が、イギリスのEU残留を強く望む発言をしました。最終的にはイギリス国民が決定することではありますが、そういった外部の声も少なからず影響するのではないでしょうか。
国内要因としては、残留の旗振り役のキャメロン首相のパナマ文書による失点がどう影響するか、という問題もありますが…。実にタイミングが悪かったですね。(キャメロン首相の亡父がパナマにつくった投資信託でキャメロン首相が利益を得ていたことが明らかになったことから、支持率が急落)

 

まとめ。

そんなこんなで、ここだけ読めばいいようにまとめると、
イギリスは自分たちで物事を全部決めたいし、移民も受け入れキャパを超えているので拒否したいから、EUから出ていきたい。でも、EUから出ていくと経済的な便宜もある程度捨てることになるから、どうしよっかなあ。残りたいような。出ていきたいような。
イギリスがEUを出ちゃうと、経済的にはイギリスも世界的にも不安定な要素が増えちゃうから、外から見る分には、「YOU、残っちゃいなよ!」って感じです。

 

以上! 

 

結果でました!

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