D'ac

元銀行員。子育てられ中。

インド経済の不安要素。インド中銀総裁秋口に退任。

ラジャン総裁が今年9月4日の1期の任期終了で退任することが決定されました。

 
ラジャン氏と言えば、2005年には金融危機を予言。経済学者としても誉れ高く、13年9月にインド中央銀行総裁に就任してからは、巧みな金融政策でインド経済を支えてきました。ついでいうと、割と顔もイケてて(げふんげふん)。

そんなラジャン総裁ですが、秋口には退任するとのこと。
まさか1期で退任するとは思ってなかったのでビックリです。私の感想はどうでもいいって? 
ということで、国際的には評判のいいラジャン氏がなぜ、1期で退任することになったのか、について簡単にまとめておきます。

 

国際的には評価が高いが国内的には批判あり。

2年連続でインド経済は7%の成長率を達成。この数字は減速する中国の成長率を上回り、インドは次の世界経済のけん引役として注目を集めていました。この高い成長率を実現したのが、中銀総裁であるラジャン氏の手腕であるとの評価もあり、ラジャン氏の国際的な評価はうなぎのぼり。

一方、国内では、その金利引き下げスピードの遅さが批判の的に。金利はもっと迅速に引き下げてほしいとの声が高まっていました。また、グリーンカード(アメリカにおける永住許可証)を保有していることから、「インド人らしくない」「いざとなれば、インドを捨てることができる」などという批判もあるようです。(グリーンカード所持が中銀総裁の資格としてふさわしくないものかどうか、というのは、感覚としてはわかりにくいものがあります。英国の中銀は、カナダの中銀総裁であったカーニー氏を迎え入れたわけですし、国籍とかそんなことよりも、実力や経験値のほうが重要な気がしなくもないのですが。)

 

インド経済の不透明要素に。

先ほども述べたとおり、ここ近年のインドの高度成長は、ラジャン氏の金融手腕が存分に反映されたものでした。つまり、ラジャン氏の退任は、思っている以上に今後のインド経済に影響してくるものと考えられます。
短期的には、ルピーとインド株の下落が予測されます。秋口までに退任の影響は織り込まれるとしても、それ以降の不透明さを市場がどう判断するのか、については今後誰が後任となるのかなど、今のところ判断材料が極めて少ない状態といえるでしょう。
インドの高い成長率に賭けて投資戦略を描いていた投資家も、今回の退任発表で投資戦略・リスクの見直しが必要となることは間違いないでしょう。


この記事は、今朝「ラジャン氏退任だって!」って騒いだ私に対して「誰それ?」と訊いた夫のために簡単に書かれたものです。かしこ