D'ac

元銀行員。子育てられ中。

どうして円はいざという時に買われやすいのか。

一時期の円高はどこへやら。再度円は円安方面に向かっています。

とは言っても、今月の日銀の追加緩和を見越しての動きなので、追加緩和が行われなければ1ドル=100円突破の芽もあるかもしれないところではありますが。

さてさて、この間の円高の原因はなんだったのか皆さん覚えていますか?
そうそう、あれはイギリスのEU離脱決定投票でしたね。
イギリスは先日の投票でEUを離脱すると決めたものの、決まった後の歯切れは悪く、離脱交渉は難航しそうだし、いつになったら離脱(2年後?)するのかも不透明。まあ、イギリスの経済規模的にそんなに世界経済への影響もないかな、ということで円は再度円安方向に向かったのでした。

それはそうと、なんで世界経済が危機になったら円が買われるのか、について疑問に思っている人が多いと思うので簡単に説明をしておきたいと思います。

 

みんなが「円は安全通貨だ」って思っているから。

これはある意味条件反射です。パブロフの犬のように。
「世界経済が危機だ」と思うような状態が生まれると、脊髄反射的に円が買われることになります。
「よくわからないけど、みんな円買いに走るから自分も買っとかなきゃ」という人達も当然発生します。ということで「なにかあったら円」。有事の円買い。
意味が分からなくても覚えておく必要がありそうです。
為替相場(円相場)は言ってみれば人気投票ですから…。

 

消去法的に言って円。

「世界経済が危機だって言っても、日本だって、少子高齢化だし、財政厳しいし」と思っている方は多いのではないでしょうか。
でも、じゃあどこの通貨を買うか? というお話です。
前提として、ユーロやドルからの逃避。さて、どこを買いますか?
ま、円が無難そうですよね。中国人民元はSDRに選ばれましたが、まだまだといった感じですし、「日本は財政難だし、少子高齢化の進む課題先進国だ」なんて言ってみても、相対的にはいい感じ、ということができるのではないでしょうか。

 

日本はデフレ。

デフレは経済を停滞させる敵とみなされることが多いのですが、通貨価値の話となると別です。
デフレというのは、今年100円のリンゴが来年には98円になるということ。これは一見リンゴの価値が落ちているように見えますが、逆です。リンゴの価値ではなく、通貨の価値が上がっているのです。
デフレというのは、通貨価値が上がるということ。
デフレ通貨である円は、その価値を保蔵するのに適しているというわけです。

 

そんな感じで有事の際には円が人気になります。
何かあったときには「また円が上がるな」なんて言うと、なんかわかっているように見せることができるので、みなさんふるってご利用ください。

 

永遠に安全通貨とは限らない。

消費増税延期で日本国債の格付けが引き下げられるなど、日本の財政難は地味ではありますが世界的に認識されています。そんな状態ですので、未来永劫安全通貨というわけではないことは肝に銘じておく必要があるでしょう。

 

今月の為替相場波乱要因。

現在円安が進んでいますが、これは今月末に行われる日銀の金融政策決定会合で金融緩和が行われるであろうということを織り込んだ動きとも伝えられています。
日銀の追加緩和カードは残り少ないと考えられており、日銀が本当に今月末追加緩和に踏み切るかは不透明。もし、追加緩和が行われない場合には、円は再度円高方向に進むものと考えられます。

 

大体そんな感じでもにょもにょと理解しておけばいいのではないでしょうか。

 

以上。