D'ac

元銀行員。子育てられ中。

貸金業者の督促よりも、奨学金の督促の方が怖い。

最近銀行勤めの知人が春から督促にうつるということになりまして、金融機関の督促あれこれの話をしてきました。

「実際、借入を延滞したらどうなるの?」

これって結構みんな知りたいことだと思います。
だって、イメージは「腎臓二つあるだろ? 一個くらい売って返せばいいんじゃないの?」と詰め寄られたり、娘を夜の街に売られたり…え? そんなイメージない?

 

実際に、そういう取り立てはできません。法律で禁止されています。
そんなことやっていたら、一発で営業停止でございます。はい。

延滞したらどうなるのか?

回答:とっても優しいお姉さんが「返済日がすぎていますけれど、お忘れじゃないでしょうか?」と電話をしてきます(男性なこともあるし、おばさんなこともあるので、優しいお姉さんと話をしたいがために延滞するのはやめましょう)。

 

初回延滞は、単なる入金忘れだったりすることも多いので、最初はただお金が引き落とされていないことをやんわり指摘するだけにとどまります。単に入金忘れのお客さんに「延滞ですよ。早く払ってくださいよ」なんて言ったら「今まできちんと払っているのに、一回うっかりしただけで、そんなこと言うんか! お前ら金貸しは!」とか言われたりするんで、金融機関の人もおっかなびっくりですよね。気持ちとしては「えーと、いつも利用してくださってありがとうございます。大変申し訳ないんですが、お金が入金されていないので、払っていただけますと助かります。すいませんがよろしくお願いします。」って感じで。

2回目の延滞以降は金融機関によって違う。

2回目で代弁に回すところもありますし、2回目も「早く払ってね」というところもありますし、まあ色々です。貸金業者は大体2回目で代弁します。これはすごく早いですよね。2回払えないだけで見切りつけちゃうんだから。「もう君とは付き合ってられないよ」ってな具合に。

代弁というのは代位弁済の略語で、「何でもかんでも略するなよ!」って言われるかもしれませんが、代位弁済っていうより、代弁のほうが親しみやすいのでそれでお願いします。代弁というのは、金融機関が他の債権取り立ての会社に債権を売り渡すことです。取り立てしにくる会社が変わります。だから、ぶっちゃけ、私ら金融機関の人間は代弁あげたら終わりなので、そちらの会社がどういう取り立てをしているかは知らないのです。

「もうこの人返してくれなさそうだなあ…」と思えば、即代弁。さよなら。お元気で。もう会うことはないでしょう。(代弁になると、当然信用情報に記録されるので、今後お金は借りられません。5年間で記録は抹消されますが、金融機関には永久保存されているので、代弁した金融機関では一生お金は借りられません。)

 

債権譲渡すると内臓を取られるか。

そんなことはありません。
債権譲渡とは言っても、やっぱりキツイ取り立てはできないようです。
最終的に債権はサービサーというところにいくのですが、そちらの人は格安で債権を買い取り、「ちょっとでもいいから返してくださいね」という風に話を持っていくそうです。
本当かな? 本当だったら、借りて踏み倒した者勝ちだよね、っていっつも思っています。
金融機関の人たちも、代弁したらおしまいなので、その後は知らないのです。気になって気になりすぎて色んな上司に「代弁の後の取り立てってどんな感じですか?」って聞いていたのですが、答えはみなさん曖昧でした。

 

 そうは言っても債権譲渡とか言われたら普通はビビる。

債権譲渡しても取り立てが厳しくないなら怖くないよ! という強者もいらっしゃるかと思いますが、債権譲渡されたら、当然、今後お金は借りられません。クレジットカードも持てません。そして、気持ち的にも落ち込むことは間違いありません。だから、債権譲渡って怖いんですよね。言われると。内臓取られるよりはマシだけど。

 

さてさて、けれども、述べてきましたように、債権譲渡は「この人払えなさそうだな」って判断された場合です。住宅ローンとかの銀行借り入れだと4か月から6か月くらいの延滞で大体代弁に回されます。貸金業者ですら、2回なので、1回の延滞は優しいコールがあるだけです。

 

奨学金の督促はいきなり「債権譲渡するぞ」と言われる。

問題は奨学金。実は私奨学金延滞したことがあります。
これ、一次コールで「早く払わないと債権譲渡します」って言われたので。初回で既に強面の取り立てコールだったので。すごくビビりました。貸金ですら、1回延滞だと「入金遅れていますよ」って言われるだけなのに! 奨学金は1回延滞で脅されます。

 

この話を金融機関の人たちにすると、「その督促の人がボロいだけやろ」って言われます。どうなんでしょうか? 日本学生支援機構さん。
おかげで奨学金は早く返済できました。怖かったので。入金忘れした私が悪いんだけど。

 

ということで、奨学金の延滞の方が貸金業者より怖いよ、という話でした。
実際に、延滞が続くと奨学金でも貸金でも同じで、信用情報に傷がつき、社会生活のあちこちで支障を来します。そして、代弁されて起こる結末は大体似たような感じですが、初期督促は奨学金の方が厳しいということで。

 

厳しい方がきちんと返せるからいい? 

奨学金の督促が怖い、という話をするつもりだったのですが、ここまで書いてきて、実のところ厳しさも優しさなのかな、という気もしてきました。奨学金の延滞で人生詰む、とか嫌ですもんね。
貸金業者が実のところ優しいのは、ただ単に返してもらえなくても、ある程度貸し倒れを見込んで貸し付けているから。返してくれなければ代弁したらいいだけだから。

 

とまあ、ちょっとだけ奨学金の督促の厳しさをフォローしてみましたが、やっぱり一次コールで「債権譲渡するぞ」と脅すのはちょっとやり過ぎじゃないでしょうか。みなさん、どう思いますか?

 

以上