D'ac

元銀行員。子育てられ中。

今が借り時? 住宅ローンの来月の金利水準を占う方法。

 f:id:peticonbu:20150706053231j:plain

 

 住宅ローン、借りるなら低い金利で借りたいですよね。
ということで気になる来月の住宅ローン金利水準を占う方法についてみていきましょう! 

 

金利とはなにか?


住宅ローンの金利は以下のもので構成されます。
① 調達金利+②金融機関の運営コスト+③貸し倒れバッファー+④インフレへの備え

 

1・調達金利


調達金利というのは、金融機関がお金を借りるための金利です。
銀行はお金を借りて、そのお金を貸すことで収益を上げているわけです。銀行がお金を調達する先は、主に銀行預金ですが、市場からも借りています。
ここで参考にしたい調達金利は市場から調達しているものとして考えます。
市場での調達金利の代表的なもの「10年物国債」の金利をみることとしましょう。

 

2・金融機関の運営コスト


金融機関の運営コストとは、金融機関の人員だったり建物だったりを維持する基本コストのことです。
一般的に貸し出し金利の1%ほどが運営コストと言われています。

 

3・貸し倒れバッファー


例えば、100人に貸したときに1人の貸付金が焦げ付いたとします。
すると、残り99人の貸し出しから、その1人分の回収できなかった金額を回収する必要があります。これを貸し倒れバッファー(緩衝材)と言います。

どのくらいの率で貸し倒れるかは金融機関の内部情報なので、私たちにはわかりません。

 

4・インフレへの備え


インフレとは、物価が上がること。つまり、お金の価値が下がることです。
住宅ローンなどは長期の借入になるので、その間にじわじわと物価が上がることが予測されます(お金の価値はじわじわ下がる)。

それも加味して住宅ローン金利は決定されるわけです。

 

 

以上4つの要素で住宅ローン金利が決定されるということをみてきました。
このうち、④のインフレ率は①の市場の調達金利に含まれています。
金融機関の運営コストと貸し倒れバッファーは知る由もなし・・・ということで。
ただ、運営コストと貸し倒れバッファーは毎月変わるものではないでしょう。

 

住宅ローンは長期金利で決まる


住宅ローン金利は長期金利にもろもろを足し合わせて決定されるということを見てきました。
ということで、住宅ローン金利を知りたい人は新聞で10年物国債の金利をチェックするようにしましょう。


「長期金利が上昇した」というニュースは、「来月の住宅ローン金利があがるかもよ」と。
「長期金利が低位推移している」というニュースは「来月の住宅ローン金利は下がるかも!」と脳内変換。


以上で満足した人はそれでいいと思います。
でも、もっと進んで、長期金利の決まり方を知りたい人は以下をどうぞ。

 

長期金利はどうやって決まる?


長期金利は国債の需給関係で決定されます。
「10年物国債が欲しい!」という人が多ければ多いほど、金利は下がる。
「10年物国債? いらないよ!」というような人が多ければ多いほど、金利は上がる。

 

金利と債券価格の関係について詳しくはこちらをどうぞ。 

peticonbu.hatenablog.com

 

つまり、国債の人気が高ければ金利は下がるけど、国債の人気が低ければ金利は上がる。

となれば、国債の人気を測る方法をみる必要がでてきます。

 

国債の人気具合をみる方法。


国債の人気具合を決定する要素は様々ですが、簡単に言うと「日本の国債持っていると利益が出る!」もしくは「日本の国債をもっていると安心!」という状況になることが人気上昇の秘訣。

どういうときに日本の国債の人気がでるのかをみていきましょう。

 

1・他の国の債券よりも利率がいい。


他の国の国債や債券よりも利率がいいときには、日本の国債の人気が出ます。

 

2・株をもっているよりも利益が安定して出る。


株のパフォーマンスが悪いときも債券の人気が出ます。

 

3・世界経済が不安定になったとき


世界経済が不安定になると、安全とされる日本国債は買われやすくなります。

 

と、まあ、国債の人気具合は通常だったら、こんな感じで決定されます。
けれど、今の例外的な状況を追記しておかなければいけません。

 

4・市場の資金量が増えると買われる。


市場の資金量が増えるというのは、一言で言うと、「量的金融緩和が実施される」ということです。
量的金融緩和とは、日銀が市場の資産を買い取ることによって市場にお金を流し込むことです。


これが行われると、運用先がない余ったお金が市場を徘徊することになり、結果、国債が買われることにつながります。

というか、そもそも、日銀が買い取る市場の資産が「日本国債」なので、銀行などは安心して国債購入を進めることになります。

 

通常の市場であれば、「株の利回りがいいときは債券は売られ、株の利回りが低いときに債券が買われる」という関係が成り立っていましたが、今の緩和相場(量的金融緩和が行われている市場)では、常に余ったお金が運用先を探しまわっていますから、債券高・株高が両立する、ということになってしまっているわけです。

 

まとめ


長くなってしまったので、簡単にまとめておきます!


住宅ローン金利は長期金利動向で決まる。
長期金利動向は、国債の人気具合で決まる。

 

国債の人気がでるのは以下の場合。
・日本の国債は安心! って思われた場合。
・日本の国債の利回りがいい! って思われた場合。

 

具体例)
・ギリシャのEU離脱→安全資産(日本の資産)にお金が入る→長期金利低下
・アメリカの利上げ→アメリカの債券利回り上昇→日本からお金が出ていく→長期金利上昇
・原油安→インフレ率の低下→日銀が追加緩和を発動して市場にお金が流しこまれる→長期金利低下

 

とまあ、住宅ローン金利一つ占うのにも、世界経済がみえてきますねえ・・・。

以上!