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元銀行員。子育てられ中。

人民元の切り下げってなに? 米国利上げ、日本株へ与える影響は?

先週は再び中国が台風の目となり世界経済は大荒れ模様となりました。
世界経済の混乱をもたらした人民元の切り下げとは一体なんのことでしょうか?
そして、それが米国利上げ、日本の株式市場にもたらす影響とは?

 

今後、株をやりたい人や金利動向、為替水準を知りたい人は知っておきたい基礎知識を説明していきます!
詳しい人は目新しいことはないので回れ右でお帰りください(´ω`*)


ということで、解説スタート!

 

 

人民元切り下げの一部始終をザックリと解説。

中国が中国の通貨である元を安くなるように誘導。

 

・中国の輸出競争力が上がるので、ベトナムとかの中国と輸出で競合する企業の株が売られる。


・「元、切り下げないとダメなの?」想定以上の中国景気の悪化に驚いた人たちが中国関連株を売る。


・中国を主戦場にしているアップルなんかも当然打撃を受けた。

 

14日、元の基準値引き上げにより、一応の落ち着きを取り戻す。

 

以上。

 

人民元引き下げとはなにか?

日本円やアメリカドルなど主要通貨は大抵のところで変動相場制が採用されている。
変動相場制のもとでは、純粋にその貨幣の需給によって、その通貨の対他通貨の価値が決まる。円も毎日、毎時間価格が変わるよね。

 

ところが、中国の元はそうじゃない。
中国は人民元の相場を一定の範囲内に収まるように制限を加えている。
その制限を加える方法が「基準値」というものだ。

 

この「基準値」中国の中央銀行である人民銀行が毎朝発表する。
元は、この「基準値」の上下2%以内でしか売買されない。

 

今回切り下げされた! って大慌てされたのは、この「基準値」のこと。
人民銀は、この基準値を一気に2%切り下げた。3日間で言うと4.5%の切り下げになる。

 

「基準値」が切り下げられることによって、元はドルに対して元安に。大体4%もドル高・元安に。
って言ってもピンとこないからな?

 


日本円で言うと、たった3日間で、120円が125円ほどになったくらいのインパクトがあるんだよ。日本で例えると、日本政府が円を120円から125円にするように為替誘導したってことになる。


輸出企業は大喜び。輸入企業には大打撃だよね。あと、アメリカも怒るね。間違いなく。円安になるってことは(対ドルでは)ドル高になるってことと同じ。

 

通貨政策は、他の国に影響を及ぼすことなくしては不可能。だから、我田引水になっちゃうことが往々にしてあるということは頭に入れておきたいとこ。

 

 

人民元引き下げで中国が得たかったものは何か?

中国はずっと金融緩和を続けている。でも目立った効果はない。
中国は焦っている。踏みとどまりどころを見せない景気減速に。

「よし、それなら元を切り下げて、輸出企業を支援しよう!」
これが、今回の元切り下げの大きな理由だろうね。当局は否定しているけれど、この否定はどこの国も使う方便だから。

 

輸出支援以外の隠れた(?)元切り下げの理由は以下の2点。
・中国経済の実態に合わせたレートへの変更。
・IMFへのアピール。

中国元はゆるやかにアメリカドルと連動していた。
通貨価値というのは本来は、その国の経済力に従って決定される。
強い通貨は強い国力。

 

でも、中国は景気減速しているじゃん? なのに、一応好調なアメリカドルと連動していたら、実態を反映せず、過剰評価されていることになる。これは結構キツイよね。それにアメリカは利上げが9月にも行われるんじゃないかとの見通し。それに合わせて更に元も上昇することになったらたまったものじゃない。
そう考えると、今回の人民元の切り下げは仕方ない、とも言える。

 

IMFのアピールは今回の人民元切り下げの表向きの理由ともなった。
中国は、IMFにSDRの仲間に入れて欲しいって言っている。


でも、IMFは、「変動相場制じゃない、不自由な通貨じゃあねえ・・・www しかも、人民元過当評価されすぎじゃない? ww」なんて返事をするものだから、中国も、「それなら、実力にあった水準に切り下げますよ」って。

 

だから、世界経済が人民元にあたふたする中、IMFだけは「歓迎すべき一歩」と声明を出した。でも、IMFは単なる口実に利用されただけという感じも実のところ否めない。そのくらい、中国の指導部は中国の景気減速にはやきもきしているんだよね。

 

元切り下げの影響の日本への影響は?

日本では中国関連企業の株、東南アジア関連企業株が売られたよ。

 

中国関連企業株が売られたのは、「中国って、そんな手を使わなければいけないくらい景気が悪いのか!」と受け止められたから。基準値を一気に4%も引き下げるなんて尋常じゃない。これは、中国やばいかもしれんぞ! と思った人が多かったということ。

 

相次ぐ金融緩和が効果を出していないのもショックなんだよね。

 

東南アジア関連企業株が売られたのは、東南アジアからの輸出競争力が落ちるから。
中国が人民元を切り下げたということは、中国企業の輸出競争力が上がるってことなんだよね。


つまり、「ベトナムから買うより、中国から買った方が安い!」って状態になること。そうなると、東南アジアの中国の競争相手は大きなダメージを受ける。
だから、東南アジア関連企業は株を売られることになった。

 

あとは、輸出競争力の影響をうけるのは、東南アジアだけじゃない。日本も例外ではない。人民元に対して日本円の価値が上がったから。「中国の品の方が安いから」って中国商品を買う消費者が増えるかもしれない。だから、日本の日用品や小売の株も売られた。日本からの輸出も伸び悩むかもね。だから、輸出企業も売られた。

 

あとは、中国人からすると、「円高になった」わけで、「日本に旅行に行って買い物がしたいわ」という人が減る。それも、日本経済にはマイナスとなるよね。ということで、日用品や小売の株がまたしても売られる。

 

ということでまとめると、日本の株への影響は結構、いっぱいの企業の株が売られたよ! ってこと。
やっぱり、中国の影響は半端ないね。

 

 

人民元切り下げによるアメリカ利上げへの影響。

人民元切り下げで先週も世界経済は大荒れだった。
そんな嵐の中、本当にアメリカは利上げを実施できるのか?
まあ、しちゃうでしょうね。中国の景気減速はある程度織り込まれているはず。だから、アメリカはあまり足を取られることなく、利上げを実行するはず。

 

でも、9月かな? どうかな。年内にはあると思うけどさ。そのあたりはわかんないよね。

 

ちなみに、人民元切り下げがアメリカの利上げに影響するとか言っちゃっているけどさ。これ実は逆だよね。アメリカの利上げが人民元切り下げを誘発した。こっちが正解、かな? だって、これ以上、元がドルにくっついて上がっていくと更に市場実勢とかい離した人民元相場ができあがるわけで。


中国当局には焦りがあったんだろうね。

 

ということでまとめ。

中国人民元切り下げとは? 
中国当局が元安に誘導すること。

 

切り下げの理由は?
中国の経済レベルに見合った為替相場の実現と輸出企業を支援する。

 

日本株への影響
全面安! 
政治的には知らんが、経済的にはかなり仲良しさんね。ウフッ。

 

ということで、かなりザックリになりましたが、これが先週の元切り下げの一部始終です。中国リスクはなかなか慣れることがないようです。

 

以上!