D'ac

元銀行員。子育てられ中。

緩和とか縮小とか利上げとか。

私のブログでたびたび出てくる緩和とか縮小とか利上げとかなんのこっちゃと思っている読者(夫)にそのあたりのことを簡単にザックリと説明していくよ。

 

中央銀行の政策

なんか、最初っから難しそうな漢字(感じ)になりましたが、ここから説明していきます!


緩和とか縮小とか利上げとか、滅多にきかない利下げ(中国は頻繁にやっているよね)は全部、各国の中央銀行の政策です! 
どうして、中央銀行がそんなことをやっているのか、そして、それにどのような効果があるのか、を簡単にまとめてみようというのが今回の試みです!

 

ということで解説スタート。

 

利上げ・利下げとはなにか。

むかーしむかしのことじゃった。
各国の中央銀行はその国の経済をコントロールするための打ち出の小づち。政策金利というものをもっておった。(いや、今でもあるんですよ?)

 

中央銀行は政策金利を上げたり下げたりすることによって、その国の経済をコントロールしておった。

 

このテンション続きません・・・。

 

利上げをすると何が起こるか。

そう金利が上昇するとみんなお金を貯金するよね。そして借りるのを控える。
だから、景気が過熱気味なときには、中央銀行は利上げをすることによって、景気の過熱をちょこっと冷やしてやるようにする。

 

貯金する人が増えて、借入をする人が減る結果、市場にお金があまり出回らなくなる。そうすることによって、景気の過熱が抑えられるというわけ。出回るお金を減らす政策。だから利上げは金融の縮小という!

 

利下げをすると何が起こるか。

金利が下がるとどうする? みんな預金してたって、利息つかないからバカらしくて貯金するのを辞めちゃうよね。それから、金利がひくいうちにお金を借りたり企業だったら設備投資をしたりして経済活動を活性化させる。
だから、景気が落ち込み気味なときは、中央銀行は利下げをすることで景気を盛り立てようとする。

 

貯金をせず、借入をしてまで投資をする人が増える。だから市場にお金がいっぱい出回る。そうすることによって、景気がよくなるというわけ。出回るお金を増やす政策。だから、利下げは金融の緩和ね!!

 

ところが!

ところがですよ。景気が悪くなって、悪くなって、どんなに金利を下げても皆お金を借りてくれない。となると、いつしか金利がゼロに。金利がゼロになると、もう下げられない。

 

でも、ある人が気づくんです。「金利を上げ下げして、お金の量を調整しているんでしょ? なら、直接お金を市場に流し込んじゃえばいいじゃん! そしたら、金利なんてなくても、お金の調整できるじゃん!」


この金利に頼らず、直接お金を市場に流し込む手段。これのことを「量的金融緩和」といいます。

 

金利の上げ下げを伝統的金融緩和。お金を直接市場に流し込む政策のことを非伝統的金融緩和なんて言ったりもします。あとは異次元金融緩和とか。要するに、普通じゃない方法でお金を流し込む政策手段のことなんですね。

 

 

どうやって直接市場をお金に流し込むか。

もう紙幣を刷って刷ってばら撒きます!! というのは半分くらい嘘で。
中央銀行が銀行などが保有している国債などの資産を買い取ることで市場にお金を流し込んでいます。

 

ここで勘のいい皆様はお気づきでしょう。
「どうして銀行から買い取るの?」と。
実は政府からの直接的な引き受けは法律で禁止されているからです。
過去にハイパーインフレを引き起こした苦い経験として・・・。


そんな感じで日銀は銀行にお金を流し込み、銀行は日銀に国債を売る。そんな感じで量的金融緩和が進んでいっているというわけです。
もう言っちゃっているけど、これが緩和です。

 

 

ばら撒いたお金はどうするの?

いやーどうすんでしょうね。
というか、この量的緩和は非常時の策なので、いつかばら撒いたお金を回収する必要があります。
でも、中央銀行が買い取った国債を売るのは至難の技。
だって、そんなに大量の国債を売ることになるとどうなるか。きっと国債価格が大暴落して、金利が急上昇しちゃうよね。

 

アメリカが今、金融緩和から縮小に向かおうとしています。それがアメリカの利上げというわけなのですが、そのためにやっていることは、市場にばら撒いたお金の回収・・・ではなくて、まず利上げ、というわけなのです。おそらく、買い取った資産は償還期限を待つことになるのでしょう。


国債とかは年限が決まっていて、その年限がくると償還されることになります。
国債は国の借金だから、期限が来たら、国から額面価格で引き取ってもらえるということ。おそらくは市中に流すことなく、そのまま償還を迎えるものと考えられます。市場じゃ、買ってもらえないよ!


今のところ、アメリカだけが緩和を縮小しようということで利上げに動こうとしていますが、EUはまだ緩和する(資産買取→市場に資金を供給)しようと言っていますし、日本も再度緩和するとの観測があります。

 

ただ、この異次元・非伝統の金融政策のままでいいわけではありません。
というのは、今の状況と言うのは、いざというときに政策手段の幅が極めて少ないからです。
だって、お金増やすしかないもんね。

 

各国中央銀行としては、金利の上げ下げという伝家の宝刀を取り戻したくて仕方ない。
そうしないと、今度の危機(インフレにしろ、デフレにしろ)の際に取りうる手段が極めて限られるということになり、下手をするとハイパーインフレなどの壊滅的な状況を引き起こしかねないからです。

 

ということで多少ごちゃっとしましたが、まとめておきます。

 

 

まとめ。

緩和とは市場にお金を増やすこと。方法は金利の引き下げと市場に出回る資産を買い取って、市場にお金を供給する手段の二通りがある。


縮小、引き締めとは、お金を減らすこと。方法は金利の引き上げだけ。資産の売却はできるのかな? 強制的に買わすことは無理な気がするけど。

 

今は世界的に緩和しているけれど、縮小(引き締め)をしていく段階に入っている。アメリカが先陣をきって利上げしようとしている。けど大丈夫かしらねえ・・・。

 

ということで以上です!!