D'ac

元銀行員。子育てられ中。

ジュニアNISAは使える制度? いろいろややこしいジュニアNISAの解説。

来年から始まるジュニアNISA、みなさんは利用しようと考えていますか?
前に、「NISAなんて使いにくいからやめとけ」みたいな記事を書きましたが、このジュニアNISAは大人用のNISAとは随分設計内容が異なっています。

 

正直大人用よりも複雑でめんどくさいので、もう書くのやめようかな、なんて思ったりもしたのですが、もしかしたら、ちょっとは役に立つかもしれないので、まとめていきます。

 

ジュニアNISAとは何か。

「5年間投資の利益が非課税だよ!! みんな投資しようよ!!」と喜び勇んで促進してきた大人NISAがあんまり普及しないもんだから、「ここは孫(若年層)需要だ・・・!」と狙われて始まる新制度。

 

基本的には大人NISAと同じで、少額の投資の利益が非課税になるというもの。

 

ジュニアNISAの簡単な制度概略。

対象者:日本に住む19歳までの人
必要なもの:マイナンバー
金融機関の変更:不可
投資期間は?:来年(2016)4月~23年末
年間の投資金額は?:80万円まで
非課税期間は?:5年間

 

大人用NISAとの違い①引き出せない。

大人用NISAであれば、好きなときに引き出せます。
ジュニアNISAは原則18歳まで引き出すことができません。
万一、引き出したような場合には、遡って税金を支払う必要が出てきます。
その場合、一部解約は不可能なので全解約となります。

 

大人用NISAとの違い②金融機関が変更できない

大人用NISAであれば、「最初郵便局でNISA口座を開設したけれど、やっぱり株を買いたいから証券会社で口座開設しなおそっと!」ということができますが、ジュニアNISAはそれができません。

だから、大人用NISAよりも慎重に金融機関を選ぶ必要があります。
基準は以下のとおりですね。


・株やETFを買う予定はないか? ある場合は証券会社で。
・(欲しい商品の)手数料は十分に安いか。

 

勧誘を受けたので適当に開設した、なんてことがないようにしたいものです。

 

大人用NISAとの違い③年間投資金額が80万円

大人用NISAが年間100万円まで。16年からは120万円までになります。
ジュニアNISAは年間80万円です。
年間110万円までの贈与は非課税なので、じいちゃん、ばあちゃんは奮って孫に贈与してあげてください! 


てか、贈与枠でいくなら、年間110万までにすればいいのに。ね。
うちにも、可愛い2歳の子どもがいるので、爺婆におかれましては、健康に留意して健やかにお過ごしください<(_ _)>

 

と、制度概要的には以上のような感じです。
以下では、ちょっと分かりにくいと思われるところを徹底解説していきます。

 

 

引き出せないということは売れないということ?

18歳まで引き出せないということは、途中で資産を売却できないということなのでしょうか。そんな塩漬け状態困りますよね。
ジュニアNISAでは、NISA当初から課税用の口座と非課税用の口座、二つが用意されることになります。つまり、非課税枠内で投資した資産を売却した場合には課税の口座に資金が入ることになり、こちらの口座も解約ができません。

 

課税口座の資金は、年間80万の上限内であれば再投資することが可能です。

例)
16年 → 非課税口座:A株に50万円投資
17年 → A株が80万円に値上がりして売却。利益の30万円は非課税で課税用口座に80万円の残高、となる。この80万円は引出しできない。
17年の投資枠は80万円分残っているので、課税口座の30万円を使ってB株に投資。
年度末 非課税口座:B株30万円分 課税口座50万円

 

こんな感じになります。

 

 

5年経過後、18歳までどうしたらいいの?

18歳まで引き出せないのに、非課税が5年間。残りの期間はどうしたらいいのでしょうか。

 

1・新規の非課税枠に引き継ぐ。

ジュニアNISAは23年末まで投資期間があるので、16年に投資したものは、5年後の21年のジュニアNISA枠に突っ込むことができます。非課税期間を延長できるわけですね。その間に値上がりしたタイミングを見計らって、売却して課税口座に資金を突っ込んで引出しができる18歳まで待つこともできるでしょう。

 

ところがジュニアNISA、23年末までなので、19年以降の投資であれば5年後に使える非課税枠がありません。その場合強制的に売却となるのでしょうか?

 

2・継続管理勘定に移行する。

ま、そんな鬼のような制度にはなっていないということで。
19年以降の投資であれば、その分の非課税枠内買い付け資産は継続管理勘定に移行します。
この継続管理勘定というのは、20歳までその枠内の利益は非課税になるといったものです。

 

20歳までたっぷり時間がある場合には、とりあえず継続管理勘定においといて、タイミングを見計らって売却することとなります。売却時に解約可能な年齢(18歳)に到達していない場合は、その資金はNISA内の課税口座に移行します。その資金は再投資不可能なので、18歳になるまでその口座で眠ることになります。

 

この継続管理勘定、NISA内の課税口座・非課税口座の存在が、大人用NISAとの最大の違いとなります。この辺、ちょっと理解しにくいですよね。

 

ということでまとめておきます。

 

ジュニアNISAのメリット

・18歳まで引き出せない(長期にわたって資産運用できる)。
・20歳まで時間がたっぷりある場合には、非課税期間を長期にわたって享受できる。

 

ジュニアNISAのデメリット

・18歳まで引き出せない(途中で緊急の資金需要があった場合に対応できない)。
・18歳まで時間がたっぷりある場合には、資産組み換えなどに不自由する。

 

ま、同じ要素がメリットとでるか、デメリットと出るかは、運用者次第かもしれません。


ちなみに子どもの教育資金の準備には学資保険なんてものもあります。
保険商品はインフレに弱いですから、ジュニアNISAなどの運用商品を適宜組み合わせて賢く準備したいものですね。

 

以上。