D'ac

元銀行員。子育てられ中。

住宅ローンの審査が心配? それならフラット35がおすすめ!!

という煽りタイトル。

実際に私が銀行に勤務していたころのフラット審査はザルでした。

というのは、フラット35はその債権を住宅金融支援機構なる会社が買い取ってくれるからです。つまり、あとは野となれ山となれ。手数料収入しか入らない銀行にはフラット35を販売したいというインセンティブはほとんど働かず、「フラット35を利用したいです」と言った日には、「あー、はいはい。(またフラットかよ)」と適当に審査をして貸し出すのが常でした。

その後、フラット35の杜撰な審査体制が問題視され、現在は多少改善されているとは聞きます。が、それでも、銀行が独自に出している住宅ローンよりも審査が緩くなることは多少なりとも仕方ないのかな、と思われる、フラット35はそういう商品というわけです。

ちなみに、通常の銀行ローンはどういう仕組みでしょうか。
銀行が出す住宅ローンは保証会社による保証をつけます。返済が滞った場合には、その保証会社が代わりに返済を行うという仕組みになっています。これだけ聞くと、「通常の住宅ローンも銀行は責任を負わなくていいから、審査適当なんじゃないの?」と思われそうです。確かにそれはその通りです。最終的には保証会社がお金を出すので、審査はある程度適当になります。
けれども、あまりにも審査が杜撰で保証会社に回る案件が増えると、次は保証料率が上昇することになります。そうなると、他行との金利競争が厳しくなる。そして、経営を圧迫することになる。
そのため、通常の住宅ローンにはある程度審査を厳しくするインセンティブが働くわけです。

また、あまりにも審査が杜撰だと、保証会社で否決され、保証を受けられなくなり、結果銀行本体がその債務の責任を負う必要が出てくることもあるわけです。

つまり、フラットよりも銀行自身が出している住宅ローンのほうが審査は厳しめになっているということなのです。通常の住宅ローンの審査に不安を感じる人は、フラット35にトライしてみるのもいいかもしれません。まあ、フラット35も一時期よりは、審査がきちんとされているという話ではありますが。

以上。


「あとは野となれ山となれ」と言えば、住宅メーカーもそうですよね。
売れたらあとはどうでもいいので、結構無理めなお客さんを回してくれるので、なかなかの曲者です。「その年収で変動だったら、ちょっと金利上がったら詰むよね。」ということを婉曲に話しても、住宅メーカーに乗せられてベルトコンベヤでガタガタと運ばれてきたお客様の耳にはなかなか届きません。銀行が貸し渋るのは、決して意地悪な気持ちからではないのですから、ちょっと自身の収入と購入したい物件の値段を見直すこも必要になるのかもしれません。