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D'ac

元銀行員。現在:写真撮影・加工。金融ライター・翻訳。子育てられ中。

トランプ氏が住宅ローン金利を押し上げるかもしれない。トランプ氏が日本の金融政策を批判したぞ。

夫に説明する 住宅ローン 経済
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かねてから、ドル高への懸念を表明していたトランプ大統領。ついに日本の金融政策にモノ申しました。

 

日本・中国・ドイツは為替操作国?

 

アメリカの貿易赤字を生み出す主犯として名指しされたのが、日本・ドイツ・中国の三か国。
トランプ氏いわく、日本とドイツは金融政策を使い、自国通貨を安くするように誘導していて、それが原因でドル高が進み、アメリカの貿易赤字が拡大している、とのこと。


さてさて、この指摘は正しいのでしょうか。
ということで日本の金融政策の中身をざっくりと見ていきましょう。

 

円安誘導? 日本の金融政策とは?

 

日銀は物価上昇率2%の目標を掲げ、市場に資金を流し込み、金利をマイナス圏まで引き下げました。
流通しているお金の量が増えると、みんなが「これからインフレが起こりそうだ」と期待することにより、物価が上昇することが見込めます。そして、金利が下がれば、企業も個人も「今のうちにお金を借りて投資しよう!」と考えるハズです。
ということから、日本のインフレ率(物価上昇率)を上げるために、日銀は金利とお金の量の両面からサポート。マイナス金利の害の方が大きいということで、現在は長期金利を0%に誘導することを目標とし、金利を設定したり、資金供給量を調節したりしています。

 

これが現在の日本の金融政策です。

 

なぜ日本の金融政策がドル高につながるか。

 

水は高いところから低いところへ流れますが、お金は低いところから高いところに流れます。この場合の低い・高いは「金利」のことです。
金利0%の銀行と金利2%の銀行があれば、どちらに預けますか?
金利2%ですよね。

日本の金利が低く、アメリカの金利が高ければ、お金は当然アメリカ、すなわちドルに流れます。それでドル高となるわけです。(ドルを買う人が多ければ、ドルの値段は上がる。)
日銀の金融政策で日本の金利は大幅に押し下げられています。そして、行き先を失ったお金はアメリカへ流れる。
ということで、日本の金融政策→ドル高になっている! と批判されたわけです。

 

日本の言い分。

 

「日銀の金融政策はあくまでも国内の物価上昇率を下支えするものである。為替誘導を狙ったものではない。」というのが回答になります。

今回のトランプ氏の反論にも多くの人が「金融政策は国内の経済や物価安定のためだ!」と反応しています。

が、本当にそうでしょうか?

 

円安が影の金融政策目標だった…ことは暗黙の了解ではなかったのか。

 

金融政策は円安を目的としたものだと直接的に言った人はいません。
日銀の黒田総裁は当然として、政府関係者もその筋の発言はしません。

 

ですが、日銀の金融政策をウォッチングしていた人たちにとっては、日銀の金融政策の影の目標が円安であることは疑いようのない事実でした。
そして、日銀の資金供給や金利引き下げだけでは、物価上昇にはプラスに働かず、結局、物価上昇達成には円安を頼りとせざるをえないことも。

 

現在の長期金利0%目標に対しても、どこまでの幅を日銀が許容するのかについては議論が分れるところでしたが、見方としては「円安水準が現在の水準であれば、日銀は長期金利がある程度高まっても行動しないだろう」とされていました。

 

とすると、トランプ大統領に言っていることは間違いではないと言えそうです。

 

どうして今まで問題にならなかったのか。

 

日銀の金融政策が為替誘導だったとしたら、今まで問題にならなかったのが不思議と思われるかもしれません。
けれど、これには簡単に答えが出ます。

 

みんな共犯だったから。

 

これに尽きます。

 

EUのECBも、アメリカのFRBもみんな同じような金融政策やっていました。
そのころには、確かに「市場にお金が増えれば物価が上がるよ!」という物語が有効だったように思えます。

 

ところがアメリカは一足先に経済回復の兆しが見え、ここへきて、円やユーロとの為替水準が問題になってきたというわけなのです。

 

これからどうなるか。

 

どうなるんでしょうね(笑)

日本の政権はトランプ大統領に対して弱腰のように見受けられます。
まだ出方を見計らっているだけかもしれませんが。

トランプ大統領に「その金融政策は不当な為替介入だ!」と言われたら、金融政策は後退せざるを得ないかもしれません。ウインウインな落としどころを探らなければならないところですが、相手は型破りな男なわけでなかなか先行きが不安でいっぱいです。
政権内部で、この間紹介したシムズさんのお話が主流となっていれば、ここいらで金融政策から財政政策への鞍替えも十分考えられるところです。

シムズさんのお話はこちら。 

peticonbu.hatenablog.com

 
そして、金融政策の後退→財政政策へという流れに弾みがつけば、金利は上昇します。
そして、ようやく、タイトルの話に戻ってきました。住宅ローン金利も上がるというわけですね。
途中で何のために書いているか忘れそうになっていました。

 

今回のトランプ大統領の発言については、「それ言っちゃうの?」って思いましたが、それへの反論「国内の経済政策だ!」に対しても、「いやいや、みんなそれ知ってたでしょ!」って思ってしまったので、このようなまとめ方になってしまいました。もちろん、みんな知っていたうえでのポジショントークだとも思うんですけどね。そうなんでもかんでも、トランプ氏のように素直に発言して生きていける世の中ではございません。

 

ということで今後の金利の行く末については更に不透明感が増してきたということで締めさせていただきます。

 

以上。

 

中国については、常々為替操作していますが、今は元買いで元を下支えしている、つまり、ドル安元高政策なので、トランプ大統領の指摘は間違っています。
ECB(ドイツ)についても、そろそろ金融政策は引き締め局面に入りそうなので、日独中のうち、問題となるのは日本だけ…となるかもしれません。
まあ、アメリカの貿易赤字を沢山こしらえているのは中国なので、問題視されることは避けられないでしょうが。