D'ac

元銀行員。子育てられ中。

待つ中国人。待てない日本人。

また主語が大きいって怒られるのかな・・・。
ちょっと心配だけれども、今回はお仕事でのお話。

 

私は知人の自営業を手伝っている。
総勢5,6人ってところ。うちの2歳の娘も時折伝票運びなどの労働に参加している。児童労働だろうか。だから正確には、5.5人と言った方がいいのかもしれない。

 

仕事内容は至ってシンプル。仕入れ、売る。以上。
物販である。
お客さんは日本人と中国人が半分ずつ。
そのほかの国から発注があることはまずない。まだない。

 

商品の写真を撮り、加工する。状況によって梱包も手伝う。
横で娘が踊り、伝票を運ぶ。そんな感じで日常が流れていく。

 

さて、本題に入ろう。
「日本人は待てない」、今までこんなに痛感したことはなかった。
中国人相手に商売をしていると、その対比で尚更クリアになる。

 

正直、この商売を始めた当初は、「中国人は連絡をしてこない、一体どうなっているのか」という愚痴とも恨み節ともとれない言葉が職場に溢れかえっていた。
「また、連絡してこない」
「あ、でも、その人常連さんだから大丈夫」

 

「もう一週間も放置されている・・・。」
「春節だから仕方ないよ。」
こんな感じ。

 

中国人は返事が遅い。連絡が遅い。支払いも遅い。
こちらからしたら、「この買い物、大丈夫なの?」と思うこともある。
中国人はゆったりしている。焦らない。そして文句も言わない。
クレームがついたことも一度たりともない。
彼らは返事こそ遅いが、求めることも少ないのである。

 

翻って日本人。
入金したら、「すぐに送れ」と督促。いや、ちょっと待って、まだ梱包終わってないし・・・なんて慌てて準備する。彼らは一日の遅れに腹を立てる。

 

電話をしてくる人もいる。
商品の特性上、今日明日必要になるようなものではないはずなのに、入金から即手元にこないと落ち着かないのだろうか。

 

クレームも多い。
返品も多い。
扱う商品の特性上、傷なんかはついているものだし、その場合には丁寧に写真を撮って掲載している。
それでも、クレームをつける。場合によっては返品となる。
恐喝まがいのクレーマーもいる。

 


考えてみれば、日本人は良質な最上級のサービスに慣れ過ぎている。お客様は神様、だ。
だから、販売元への要求水準も高い。

 

自分の胸に手を当てて考えてみる。私自身、実はそうしたところはないか、と。

 

それに気づいてからと言うものの、中国人のルーズさに対して幾分か寛容になったように思う。
もちろん、それが自分たちのサービスの質の低下を赦すものであってはならない。そうではないけれども。

 

「おもてなし」なんて日本の美徳のように語られるけれど、それを知らず知らず他人に酷く要求していないだろうか。
そして、それに応えるために心身を切り詰めている人も多いのではないだろうか。
上質なサービスが「美しい日本」を作っているのではなくて、「ぎすぎすした日本」をつくっている原因になっている、そんな気がする。今日この頃。

 


以上。