投資経験の浅い高齢者に投資信託を売る。みなさん、真に受けないようにご注意ください。
昨日の新聞で気になる記事があったので、ちょっと。
「本当に貯金だけで大丈夫ですか。利息が増えませんよ」。今春以降、郵便局の制服を着た渉外社員が全国の高齢者宅を回る姿がにわかに目立つようになった。
(中略)
郵便局の顧客は投資経験の浅い高齢者が多いため、複数の資産にリスクを分散させる投信など初心者向け商品に軸足を置く
「ゆうちょ銀、投信に活路 拠点・初心者向け商品拡充 貯金頼み転換急ぐ」日経新聞
要するに、マイナス金利の中、金利収入が伸び悩むゆうちょ銀行は、投資信託を売ることによって手数料収入に活路を見出そうとしている、というお話。金融機関は大変ですよね。このマイナス金利というやつのおかげで。地銀とかゆうちょとかは、国債などの債券運用収入に偏っていたりして、かなりダメージをくらっている模様。
さてさて、企業として生き残り戦略を立てるのは当然の話ですし、多くの銀行が投資信託や保険など手数料収入を見込める商品をどんどん拡充していっているのも周知の事実です。
では、この話の何が気になったかというと…。
投資経験のない高齢者に投信を売ることの是非。
「退職金をブラジル関連の投資信託に突っ込んだ」とか「五輪に向けて、投信を仕込んだ!」とか色々なお話を聞きますが、退職金以降の資産運用については、なかなか難しいものがあります。
実際には、多くの人は退職以降、つまり現役を引退したあとは、今までの貯蓄を崩すターンにはいるんですね。だから、高齢者が投資をするのであれば、余資でやらないといけない。つまり、自分では使う予定がないお金、相続に回せるようなお金で投資はすべきでしょう。
「本当に貯金だけで大丈夫ですか。利息が増えませんよ」
いやいや。貯金だけで大丈夫ではない人に投資を勧めるなんてとんでもない。
これって、「貯金だけじゃお金足りないかもしれないから、馬券買いましょう」とか「宝くじ買っておきましょう!」っていうのとそんなに変わりないです。貯金や年金で生活資金が足りない場合にまずすべきことは生活の見直しです。投資信託を購入することではないです。
投資信託はリスク性の資産であるということの意味。
投資信託はリスク性の資産ですよ~というのは再三言われていることですが、これの意味って、言葉通り捉えると、「値上がりもするし、値下がりもする」ということ。「価格変動リスクがある」ということ。
言い換えると、「売りたいときに売れない」ということ。だって、上がっているときに分散して手放す必要があるから。「今、お金が必要」というときに大きく値が下がっていたら、売れない。換金できない。
だから、投資は余裕資産でやりましょう、というのがルール。そして、換金のタイミングを見計らうための余裕時間が十分になければいけない。
60歳から投資を始める。投資の初心者であれば、分散購入、分散売却が望ましいけれど、そのために十分時間がとれるかと言えば…。…平均寿命長いし、60歳だったらいけるかな…。70、80になると怪しいなあ。
記事の書き方の問題なだけで、実際には「本当に貯金だけで大丈夫ですか。利息が増えませんよ」なんてことは言ってないとは思いますが、こんな話を真に受けて、本来貯金に置いておくべきお金を投資信託に突っ込んでしまう高齢者がいないようによろしくお願いします。もう一度言いますが、貯金だけでは足りそうにない場合にやることは、生活の見直し、です。投資は余裕資金で行うようにしましょう。
以上