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元銀行員。子育てられ中。

元金据え置きってお得なの? 教育ローンや住宅ローンでの利息だけ支払う期間について考察。

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「教育ローンは在学中は元金据え置きで利息の支払いだけでいいんだよ!!」
「女性に優しい住宅ローン。育休・産休中は元金据え置き。利息の支払いだけで大丈夫です。」

 

こういう利息だけの支払い期間をもうけるローン商品があります。
これって、必要な人からすれば必要な制度。払えないときってありますもんね。

 

でも、「めっちゃお得! 元金据え置き!」みたいな形で喧伝されるのには抵抗があります。


というのは、

元金据え置きって金融機関にはデメリットがなに一つない!


いや、最終踏み倒される前触れ・・・とかだったら、デメリットなんですけれどね。キチンとした債務者(利用者)に貸すのであれば、もうずっと元金据え置きでもいい、って思ってますよ。きっと。

 

通常返済の流れ

ローンを借りたときに、借りたお金が減るのは以下のような流れになります。
教育ローン300万円 金利3% 月々返済3万円

 

1か月目
利息:300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
300万円(残高)+7500円(利息)-3万円(返済金)=297万7500円(残高)

 

2か月目
利息:297万7500円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7443円
297万7500円(残高)+7443円(利息)-3万円(返済金)=295万4943円(残高)

 

3か月目
利息:295万4943円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7387円
295万4943円(残高)+7387円(利息)-3万円(返済金)=293万2330円(残高)

 

通常の返済であれば、このような形で利息も毎月減っていき、借入残額も毎月減っていきます。

 

元金据え置きの流れ

1か月目
300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
支払額:7500円
300万円(残高)+7500円(利息)-7500円(支払額)=300万円(残高)

 

2か月目
300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
支払額:7500円
300万円(残高)+7500円(利息)-7500円(支払額)=300万円(残高)

 

3か月目
300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
支払額:7500円
300万円(残高)+7500円(利息)-7500円(支払額)=300万円(残高)

 

4か月目
300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
支払額:7500円
300万円(残高)+7500円(利息)-7500円(支払額)=300万円(残高)

 

5か月目
300万円(残高)×3%(年利)÷12(一か月分)=7,500円
支払額:7500円
300万円(残高)+7500円(利息)-7500円(支払額)=300万円(残高)

 

とまあ、5か月(トータルで37,500円)支払っても残額は300万円のまま減りません!!


つまり、元金据え置のままだと、いつまでも借金はなくならず、利息ばかり返済していく必要があるというわけです。


教育ローンの場合は4年間。
上記の例でいくと、36万円(月7500円の48か月間)支払っても残高が一向に減らない、ということになります。

 

というわけで、どうしても支払えない場合なんかには、元金据え置きもいいですが、支払えるようであれば支払っておきましょう。

 

「元金据え置きはお得!」なんてことはあり得ないので、注意してください。
あと、金融機関の人間も「元金据え置きできますよ!!(ドヤア)」みたいに勧めるのも止めて欲しいものです。

 

写真はhttp://www.photo-ac.com/から。