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D'ac

元銀行員。現在:写真撮影・加工。金融ライター・翻訳。子育てられ中。

マイナス金利が金融政策に必要な理由として自然利子率の存在を考える必要がある。

マイナス金利
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最近マイナス金利ネタばかりですいません。

夫でも分かるように解説しているので、よかったら読んでいってください。
夫:ラブライバー。全国大会に出るとか言って妻を暗澹たる気持ちにさせている。

 

自然利子率とはなにか?

自然利子率というのは、景気を緩和するでもなく、引き締めるでもない、中立的な利子率のこと。
って言っても、「なんのこっちゃ」と思うのではないでしょうか。

モノには、適正な値段というものが存在します。
たとえばリンゴ。120円だったら売れ残る。90円だったら、足りなくなる。欲しい人と売りたい人が釣り合う値段、それが100円だとしましょう。そうしたら、リンゴの値段はそこに収れんされることになります。これが需要と供給の関係ですね。モノは需要と供給で適正な値段というものが一つに決まることになるのです。理論的には。

ということは、ですよ。金利にもそういう数字があるんじゃないだろうか、と。
お金が必要以上に借りられて投資させられる金利水準、投資を委縮させてしまう金利水準。その間に、ちょうどいい程度に借り入れが起こり、投資される適正な水準がある。それが自然利子率というわけです。
リンゴとかと一緒というわけです。金利にも適正な値段がある。

だから、金融政策が景気を刺激したり、逆に引き締めたりしたいのであれば、この自然利子率というやつをベースに考える必要があるのです。金利の適正な水準、自然利子率よりも金利を低く設定すれば、金融は緩和されることになる。自然利子率よりも金利を高く設定すれば金融は引き締められます。

 

現在の自然利子率はどのくらい?

この自然利子率。大体このくらい・・・と大体の数字を予測することができたとしても、正確にはじき出すことができません。というか、自然利子率が明確に分かるのであれば、金融政策の失敗は理論的にはあり得ない、ということになります。実際には政策を打ち出す当局も手探りなんだろうな、ということがそこからも推測できるのではないでしょうか。

ただ、自然利子率は潜在成長率の近似値であると考えられます。
ということは日本は今、マイナス域に突入していると言っていいかと・・・。

 

自然利子率がゼロ以下ならば、金利がプラス域であれば、どの数字でも引き締め効果があることになる。

自然利子率がゼロ以下であれば、金利がプラス圏にある限り、金融政策は引き締め効果を産むことになります。自然利子率以下、つまり、金利をマイナス圏に突入させなければ金融緩和は失敗に終わるというわけです。

 

自然利子率以下の金利を金融政策で導入出来たら、景気は浮揚するか。

とは言ってもですね、すでに量的金融緩和導入で、現場ではマイナス金利が発生していたわけでして、今更日銀が付利(銀行の日銀当座預金の金利)引き下げがどれだけの緩和を引き起こすか、については議論の余地があるのではないでしょうか。実際、既に大幅に緩和されてバブルっぽいなあ・・・なんて思わざるを得ないわけで。

 

もうちょっと一般人の感覚に近づけて考えてみると・・・。

住宅ローンを借りようと思うときに、「将来給料上がらないんだよな~。てか下がるかもなあ」なんて思っている状態では、金利が1.5%って言われても高いような気がしますよね。
昔住宅ローンが数パーセントあったような時代には、将来の給料上昇見通しも明るかったわけで。
そういう意味では、住宅ローン金利は0、もしくはマイナスにならないと十分な需要を掘り起こせない・・・ということも考えられるわけです。

 

金利が十分低くなれば、成長率が上昇するか。

これも議論の余地があると思われます。
だって、1%の借入の期待収益は1%以上でいいわけです。借入金利水準が下がれば下がるほど、投資先の収益率は低くていいことになる。さっきの一般人の話になると、金利がゼロやマイナスで借りた場合には、その人には、給料アップのモチベーションが働かないわけです。
同じように、退場すべき企業の存命・延命処置が施されることによって、経済の新陳代謝が鈍り、さらなる潜在成長率の低下(自然利子率の低下)を招き、そして、さらなる金融緩和(金利低下)の魔のスパイラルに陥ることも予測されます。

 

まとめ。

金利にも、モノの値段と同じように適正な水準というものが存在する。
それが自然利子率で、その利子率であれば、金融は緩和もされないし、引き締められることもない。
マイナス金利を考える上では、自然利子率の水準を考える必要がある。

 

ただ、利子率が下がれば、投資収益率も下がる(ことが予測される)ため、金利低下→成長率低下の魔のスパイラルに入ることが予測されるのではないでしょうか。

 

 

ということで以上。