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元銀行員。子育てられ中。

変動金利が0.5%以下に! ついに変動金利にもマイナス金利の影響が? 固定金利と変動金利引き下げの仕組みについて解説。

先日ソニー銀行が発表したところによると、ソニー銀行は変動金利を4月適用分から0.499に引き下げるとのこと。つまり、変動金利で初の0.5%を割り込むことになります。

 

今月は固定金利の10年物が0.5%となり、変動金利水準を下回るという逆転現象が起こっていましたが、ここにきて、再度変動金利の最低水準が固定10年物を追い越しました。

 

変動金利の下げ圧力が固定金利の下げ圧力よりも遅いのはなぜか。

日銀がマイナス金利の導入を発表した当初多くの変動選択者が「よっしゃ」と喝采を上げたことと思われますが、変動金利はあまり下がっていません。どうして変動金利よりも固定金利10年物のほうが下げ足が早かったのでしょうか。
その理由は主に二つあります。

 

1・変動金利と固定金利は基準となる金利が異なる。

変動金利の基準金利は短期プライムレート。
固定金利は長期金利、つまり10年もの国債の流通利回りが基準となります。

固定金利の方の基準金利である10年もの国債流通利回りはマイナス金利導入後大幅に低下して、マイナス圏に突入しています。けれど、変動金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)はあまり変わらず。
というのは(ちょっとめんどくさい話になるので、めんどくさい人は2に飛んでください)、10年物国債の流通利回りは、その国債そのものにつく金利と購入価格で決定されます。国債そのものにつく金利が1%でも、購入価格が105円、償還価格(満期時に返還される価格)が100円であれば、1年後には4円損することになります。100円(償還価格)+1円(金利)-105円(購入価格)=-4円。利回りマイナス4%ということですね。

そんな損をする国債を誰が買うのでしょうか?
でも、みんな購入しています。というのは、それより高い値段で日銀が買ってくれるからです。
105円で購入した国債を107円で買ってもらえたら、2円得しますよね。

そんな感じで10年物国債の利回りは下がり続けているというわけなのです。
(債券価格上昇=債券利回り減少)

一方、変動金利のもとになる短プラは銀行が優良企業にお金を短期で貸す際の基準金利。
短プラを引き下げると銀行は収益が大幅に減ってしまうので、銀行は短プラ引き下げには消極的。ということで、長期金利は引き下げられる一方、短プラはマイナス金利でもそのまま据え置かれているということなのです。


2・変動金利は既存顧客への影響が大きい。固定は新規獲得に一役買う。

変動金利を引き下げると、現在変動を利用している住宅ローン利用者の金利が引き下げられることになり、銀行の経営体力にダイレクトに響きます。
一方、固定の引き下げは、新規・借り換えのみに適用され、既に利用している人には影響がありません。つまり、固定を引き下げるのは、新規ユーザーを増やせるという意味で銀行経営にプラスに働きますが、変動の引き下げは収益に響くので引き下げたくない。そういうことになります。

また、固定金利であれば、固定期間終了時には金利が引き上げられる、というのも銀行側のメリットの一つとして数えられるでしょう。


そんな感じで、変動はあんまり下げたくない銀行でありますが、今回は変動金利で存在感を示し続けているソニー銀行が変動金利の引き下げに先鞭をつけたというわけです。

 

 

これから利用するなら変動? 固定?

金利が低い時代の借入は固定がベターではないでしょうか。
フラット35とかで、35年固定してしまうのもいいでしょう。

ただ、万一の金利上昇時には住宅ローン負債総額を大幅に圧縮できる場合には変動金利を選択するのもいいでしょう。10年間くらいで返す目途がつくのであれば、変動と同じくらいの水準で利用できる10年固定も選択肢となるでしょう。

今回の変動金利引き下げでソニー銀行は再度変動金利に強い金融機関であることをアピールする結果となりました。変動を考えている人はソニー銀行を選択肢の一つにいれてもいいのではないでしょうか。

以上。