D'ac

元銀行員。子育てられ中。

中国の株式市場のその後。

先週このような記事を書きました。

 

eticonbu.hatenablog.com

 

で、このままもう放置しておこうと思ったのですが、一応その後の経緯と中国経済見通しについて知りたい人もいるかもしれないので、続きを書いておきます。

 

中国の株バブル崩壊―その後。

結論から申し上げますと、一応市場は落ち着いています。


政府が色々と、まあ、本当に色々と手を打ちまして・・・、なんとか小康状態。
中国政府の意地を見た! という感じです。

 

中国政府は何をして市場を宥めたのでしょうか?

1・証券会社による市場の下支え。

政府系の証券会社が株式を購入して市場の株下落を食い止めています。

 

2・悪意のある空売りを規制。

「悪意のある」ってどういうことでしょうね?
空売りというのは信用取引の一つ。株価が下落する局面において活発化する取引です。
株価が下がるときに儲けることができる投資手段。

 

空売りに悪意もクソもないとおもうのですが、とにかく中国当局は「悪意のある」空売りを規制すると発表。逮捕されることを恐れた空売りを仕掛けていた投資家たちは、取引を手仕舞いしました。

ちなみに日本も今、空売り比率が高いです。先の見通しについては株価下落を見込んでいる投資家が多いということで。

 

3・株を担保としていた取引の延長許可。

株を担保(人質みたいなもの)にしてお金を借りていた企業に対する融資引き上げ期限を延長することに。期限がきたら売って回収しなければいけなかった融資資金も、期限延長のために売却しなくてもよくなりました。そのうち焦げ付くかも。

 

4・上場企業の約半数による売買停止。

「自発的に」売買停止した上場企業が半数。株式市場の流動性(換金の自由)が完全に剥奪されました。
取引停止したら、そりゃ、株価はそれ以上下落しようがありません。妙手!(嫌味ですよ)

 

こんな感じで中国の市場は何とか落ち着いています。

 

今後の中国市場はどうなるのか?

ザックリ説明なので、数字はあんまり使いたくなかったのですが、ちょっとだけ我慢してね。


中国の上海総合指数(日経平均みたいなもん)はピーク時点では5000ポイントを超えていました。
それを除けても、5,6月の平均は4500ポイントくらい。天井についてからは一気に1500ポイントほど下落して3500ポイントほどになりましたが、今は反発して3800ポイントほど。中国政府が許容できる下限域は3000ポイントほどとみられています。ちょっと余裕があるね。

 

中国政府が必死に株式市場を持ち上げる、そのわけ。

以前の記事でも説明したのですが、中国の株高は実態経済を伴っていません。
むしろ、実態経済が落ち込むタイミングでの株高演出だったわけです。

 

なぜ、そのようなことが起こったのか。
中国では不動産バブルは弾け、習主席による倹約令の発令と、まあ経済的には踏んだり蹴ったり状態でした。そんな中でも中国は経済成長目標7%を堅持。7%という数字は、今までの中国の経済成長水準からすると低い。でも実は7%を実現するのも容易ではない。となると、株式市場でも持ち上げて経済成長を演出するしかない。なんか追いつめられていますね・・・。でも、そんな感じでした。

 

先の記事で

 中国政府の「株高政策」と運用先をなくした個人投資家のマネーがうまい具合に合流しちゃったっていうわけ。


と書きましたが、むしろ、個人マネーは株式市場に向かうように政府から誘導されていたというわけです。

 

不動産バブルや埋財商品バブルは、政府の規制でうまく潰したわけですが、今度の市場はグローバルに開かれている舞台(まあ、あんまり開かれてはないですが・・・)とあって、批判も集中・・・。いや、中国だもん仕方ないよね、って思っている投資家が多いのかな。

 

中国の投信を持っていた日本の投資家も犠牲になっていますが、わりと「自己責任」で諦めている人が多いように思えます。

 

今後の日本や世界経済への影響は?

「影響は軽微」とみんな判で押したように回答していますが、ポジショントークかもしれません。よくわかりません。だって、実際に「影響が軽微」だったとしても、みんなが「被害は甚大だ」と思いこめば市場はそう動くし、「大丈夫」と思えば、実際の影響がそれより大きくても意外と大丈夫なものです。
予言の自己実現。それがマーケットだもの。長期的にみれば分かりませんが。

 

ただ、「中国の市場の殆どが個人投資家で一部の人間に過ぎない」と言われても、旺盛な中国人の購買意欲などが下押しされることによる影響はあるものと考えられます。日本では現在不動産がプチバブル化していますが、要因の一つに中国人の投資マネーが入ってきていることが挙げられます。東京五輪を目前にして、日本の不動産は割安ということらしいです。中国のバブルが崩壊すれば、この資金が引き上げられる可能性もありますよね。

 

ということで、まとめ。

中国の株式市場は政府が色々したおかげで落ち着いている。


でも、株式売買停止とかひどすぎる。停止が解消されたらみんな逃げるかもね。だって、個人投資家の市場に対する恐怖心は完全に埋め込まれたわけだしね。

 

中国は経済成長7%を実現するために、今後もバブルを下支えすべく頑張る。だから、当面の影響は大丈夫かも。今のところ、政府の意地をみんな信じているから大丈夫かも。

 

今回の騒動で、「中国株まだまだイケるよ! どんどんいこう!」といった論調は新聞や雑誌からもほとんど姿を消しました。今回の一件が片付いたとしても、中国政府の市場支配力・中国市場への恐怖心はそんじょそこらでは払拭できないでしょう! 


でも、時間が経てば忘れるよね? 不動産バブルも埋財商品バブルもみんな忘れていたよね?

 

以上!

 

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